(22日、第97回選抜高校野球大会1回戦 早稲田実8―2高松商) 早稲田実の左腕中村心大(こうだい)がひと回り大きくなって甲子園に戻ってきた。 昨夏の選手権大会3回戦で大社(島根)に延長十一回タイブレークの末に敗れてから7カ月。伝統校同士の…
(22日、第97回選抜高校野球大会1回戦 早稲田実8―2高松商)
早稲田実の左腕中村心大(こうだい)がひと回り大きくなって甲子園に戻ってきた。
昨夏の選手権大会3回戦で大社(島根)に延長十一回タイブレークの末に敗れてから7カ月。伝統校同士の対戦で8回1失点8奪三振。毎回走者を背負いながら、要所を締めた。「甲子園という舞台を楽しめているのがいい結果につながった」
二、五回の自らの適時打などで奪ったリードは5点。その裏の投球に中村らしさが詰まっていた。五回、2安打と四球で迎えた2死満塁のピンチ。一回に右中間三塁打を浴びるなど、スライダーにタイミングの合っていた3番高藤快渡(かいと)を迎えた。
ならば持ち味の直球を3球続けて1ボール2ストライクに追い込んだところまでは定石通り。ただ、勝負球に選んだのは、甲子園に来てから覚えたチェンジアップだった。投飛に打ち取り、試合の流れを決定づけた。
「チェンジアップは、5日前くらいにキャッチボールで投げて、今日使ってみようと(捕手の)山中と話した。試合で使うのはもちろん初めて」
囲んだ記者陣から驚きの声が上がる。その握り方は開会式直前、隣にいた横浜のエース奥村頼人から教えてもらったというから二度びっくり。「関東大会を見ていて僕たちの代で一番の投手だと思った。話を聞きたいと思っていた」と屈託がない。
冬場のトレーニングで体幹を鍛え、直球は自己最速の146キロを計測。打っては4安打。今大会の主役の一人は「今後も一戦必勝。全力でプレーする」と前を見据えた。(堀川貴弘)