2025年シーズンWRC第3戦サファリ・ラリーケニア(グラベル)は、3月21日(金)に2日目の8SSを走行し、トヨタのエルフィン・エバンスが首位に立った。7.7秒差の総合2番手にもトヨタのカッレ・ロバンペラ、2.6秒差の総合3番手にはヒョン…

2025年シーズンWRC第3戦サファリ・ラリーケニア(グラベル)は、3月21日(金)に2日目の8SSを走行し、トヨタのエルフィン・エバンスが首位に立った。7.7秒差の総合2番手にもトヨタのカッレ・ロバンペラ、2.6秒差の総合3番手にはヒョンデのオィット・タナックがつけている。

金曜日から、ナイロビの北部100kmに位置するナイバシャ周辺のラフグラベルを舞台に本格的なマシンブレーカーラリーが幕を開ける。
2日目は新たに加わった「Camp Moran(31.40km)」、「Loldia(19.11km)」、「Kengen Geothermal(13.18km)」、「Kedong(15.10km)」の4SSを、ナイバシャのサービスを挟んでリピートする8SS、157.58km。

前日のトラブルから再出走に回ったアドリアン・フルモー(ヒョンデ)がマシンを直し、無事にリスタート。また、早朝のサービスでギヤボックスを交換したティエリー・ヌービル(ヒョンデ)は、TCに6分遅着したことで60秒のペナルティを受けている。

ラリー最長の1日に向けて、勝田貴元(トヨタ)とサミ・パヤリ(トヨタ)、フルモーがハードを6本をチョイス。ヌービルはソフト4本にハード2本。首位のタナックを含むそれ以外のトップクルーはソフト2本にハード4本でサービスをスタートした。

この日、最長の31.40kmを走るSS3。厳しい路面コンディションが広がるなか、初日を2番手で終えた勝田が、右リヤタイヤと左フロントをパンク。「丁寧に石を避けていたのに、なぜこうなったか分かりません……」と勝田は肩を落とした。勝田はこのステージだけで2分以上を失い、総合13番手にポジションダウン。パヤリもパンクでステージ中の交換を余儀なくされ、こちらも2分以上をロス。総合14番手に順位を落としている。

ここでは首位のタナックがヌービルに2.1秒差の一番時計。エルフィン・エバンス(トヨタ)が8.6秒差のSS3番手タイム、カッレ・ロバンペラ(トヨタ)が24.7秒差のSS4番手タイムで続いた。この結果、エバンスが首位のタナックから13.1秒差の総合2番手、27.7秒差の総合3番手にロバンペラが浮上。52.5秒差の総合4番手にジョッシュ・マカリアン、1分差の総合5番手にグレゴワール・ミュンステールのMスポーツ・フォードのふたり、前日のトラブルを解消したヌービルが総合6番手まで順位を戻している。

SS4はタナックがヌービルに1.5秒差の連続ベスト。ハーフスピンを喫したロバンペラは17.7秒差のSS5番手タイムに沈む。総合5番手のミュンステールが右フロントサスペンションを壊し、大幅にスローダウン。これでヌービルが総合5番手に浮上した。SS5はロバンペラが今ラリー初のベストタイムをたたき出している。



SS6はタナックが3度目のベストを獲り、午前中のセクションを終えて総合2番手につけるエバンスとの差を24.4秒に拡大した。47.1秒差の総合3番手はロバンペラ。1分41秒1差の総合4番手には、SS5ではジャンプスタート、SS6で左リヤタイヤをパンクしたヌービルがつけ、1分49秒9差の総合5番手にマカリアンというオーダー。WRC2のオリバー・ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー2)を挟んで、オープニングのパンクで大きく遅れた勝田が、総合7番手まで順位を戻している。

ナイバシャでのサービスを挟んで、午前中のステージをリピートする午後のセクション。ロバンペラとフルモーがソフト2本にハード4本、それ以外のクルーはハード6本でステージへと向かった。SS7はヌービルがタナックに22.4秒差をつける会心のベストタイム。エバンスは41.5秒差のSS5番手タイムに沈み、首位タナックとの差は43.5秒差に広がった。

このステージでは、5番手につけていたマカリアンのフォード・プーマ・ラリー1にトラブルが発生。車両を止めてチェックするも、大幅なペースダウンを強いられ、ベストのヌービルから3分以上も遅れてしまう。これにより勝田が、ステージ中スタックしたソルベルグもかわし、総合5番手に順位を上げた。

SS8はタナックがエバンスに2.6秒差のベストをマーク。ヌービルは前のステージでフェシュフェシュ(目の細かい砂地)が冷却系に詰まり、これを取り除くため、スタートTCに5分遅着。50秒のペナルティを科されたが、順位に変動はない。後方ではペースの上がらないマカリアンがさらに順位を下げ、パヤリが総合6番手にポジションを上げた。



SS9、ここまで順調にトップを快走してきたタナックにも、サファリの魔の手が襲う。タナックはSS8の段階でドライブシャフトにトラブルが発生しており、ペースを落としてなんとかSS9を走り切ったものの、ベストのロバンペラから1分以上も遅れ、総合3番手にドロップ。これでエバンスがロバンペラに11.3秒差をつけて首位に立った。このステージでは勝田がまたも左フロントタイヤをパンク、総合5番手はキープしたものの、30秒近くを失っている。

この日を締めくくるSS10はロバンペラが勝田に0.3秒差の連続ベストタイムを刻み、首位エバンスとの差を7.7秒に縮めて長い1日を終えた。ステージウインこそなかったものの、トラブルなくタフな2日目をトップで走り切ったエバンスは「もう少しペースを上げられそうにも感じたし、フラストレーションもたまったよ。でも、今日は安全なペースをキープすることに専念した」と、冷静に語る。

タナックは、SS10前のロードセクションでドライブシャフトに応急処置を施し、安全なペースで走行。首位から55.4秒差ながら、総合3番手のポジションを守った。ペナルティや様々なトラブルに見舞われたヌービルは、1分31秒4差の総合4番手。3度のパンクを喫した勝田は3分26秒4差の総合5番手につけている。



競技3日目はSS11〜SS16の6SS、SS走行距離は146.50km。オープニングのSS11は、日本時間3月22日の14時35分にスタートする。

WRCサファリ SS10後暫定結果
1. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2:00:45.4
2. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +7.7
3. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +55.4
4. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +1:31.4
5. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +3:26.4
6. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +4:19.1
7. J.マカリアン(フォード・プーマ・ラリー1) +5:35.4
8. K.カエタノビッチ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +5:53.8
9. G.グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +6:04.0
10. J.ソランス(トヨタGRヤリス・ラリー2) +6:34.1