(21日、第97回選抜高校野球大会1回戦 智弁和歌山6―0千葉黎明) 「絶対つかみにいこう」。二塁手の篠原翔空(とあ)選手(3年)は心に決めていた。 3点差でむかえた四回表、2死一、三塁。さらに点差が開きかねない場面で、一、二塁間に飛んだ強…
(21日、第97回選抜高校野球大会1回戦 智弁和歌山6―0千葉黎明)
「絶対つかみにいこう」。二塁手の篠原翔空(とあ)選手(3年)は心に決めていた。
3点差でむかえた四回表、2死一、三塁。さらに点差が開きかねない場面で、一、二塁間に飛んだ強い打球を、帽子を落としながらもなんとかつかんだ。攻撃を断ち切り、ベンチに向かった。
3点を失った一回表、2死二塁の場面で、同じく一、二塁間に飛んできた打球を弾いて取りこぼし、失点していた。それでも下を向かなかったのは「胸を張って堂々とやろう」と4人で約束していたからだ。
地元の少年野球チーム「八街ファイターズ」時代から一緒にプレーした林倫生(ともき)、岩田海翔(かいと)、垣花奏樹(そうじゅ)の各選手がそろってベンチ入りしていた。
篠原選手は「3人がいるから野球が続けられている。4人で甲子園にいけるとは想像していなかった。でも運命なのかもしれない」。
自主練習で基本的な動作を繰り返し、時にはわざと落としてその後の対応を鍛える練習もしていた。愛用のグラブには自分と仲間の名前からとった文字が刺繡(ししゅう)されている。
八回表1死三塁。再び一、二塁間を抜けようとした打球に食らいついた。落としたがすぐに拾って一塁へ送球。思いが詰まったグラブで、再び失点を防いだ。
チームは、持ち味の守備では光る場面を見せながらも敗退した。「初回から最後までこの球場に慣れることはできなかった。悔しいがこの場に立てたのは光栄。安心して見ていられるセカンドになって、また夏に戻ってきたい」(芹沢みなほ)