アメリカではいよいよ、NCAA(全米大学体育協会)の3月名物であるマーチマッドネスに突入する。 番狂わせも含め、競技性の高さ…

 アメリカではいよいよ、NCAA(全米大学体育協会)の3月名物であるマーチマッドネスに突入する。

 番狂わせも含め、競技性の高さはもちろんだが、この全米トーナメントは参加する選手たちにとって、NBA入りという大きな目標を達成するための最高のアピールの場となる。特に強豪校の選手であり、ファイナル4の進出に大きく貢献するようなことがあれば、球団スカウトたちはその評価を改めて、ドラフト指名をより確実なものとすることができる。

 2025年組は大学生ながら世界的な知名度を持つクーパー・フラッグの存在もあって大きな注目を集めているが、ここにきて頭角を現した選手たちの存在によって、厚みを増してきた。『The Athletics』によれば、今年は1巡目後半から2巡目前半にかけて、センターを主戦場とする大型プレーヤーたちの層が厚いと分析。また、将来性のあるガードも少なくなく、昨今のバスケットボールのトレンドを汲み取るように、シュート精度の高い選手も今後の育成次第で大化けするポテンシャルを秘めているという。

 以下では『The Athletics』が発表した最新のモックドラフトから、世代の有望選手たちを厳選。将来、リーグの顔となる可能性を秘めた選手たちを予習しておきたい。

今年のドラフトの目玉!世代屈指の逸材から目を離すな


1位:クーパー・フラッグ

大学:デューク大学

年齢:18歳

ポジション:フォワード

 フラッグは近年のドラフトと比較すると、ザイオン・ウィリアムソン(ニューオーリンズ・ペリカンズ)やビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)と同等、もしくはそれ以上の期待が寄せられている世代屈指の逸材である。

 2025年のスタッツは、平均21.4得点7リバウンド5アシスト1.5スティール1.3ブロックと申し分なく、フィールドゴール成功率54.2パーセント、3ポイント成功率45.7パーセント、フリースロー成功率87.4パーセントと、シュート精度にも抜群の安定感がある。

 フラッグの選手としての魅力は、その支配力をコート全面で発揮できることだろう。ザイオンのような理不尽な破壊力とは一線を画し、非常に高いバスケットボールIQと、年齢離れしたゲームの分析力で、適切なプレーを選択。トランジションはすでにエリート級であり、ハーフコートではオンボールとオフボールのどちらにも対応する。そして、特筆すべきはディフェンスでの圧倒的な貢献だ。高い集中力とエナジーで味方の守備網を取り仕切り、ヘルプ範囲も異常なまでに広く、ディフェンスエリア全体を飛び回って、相手に付け入る隙を与えない。

 ケガの懸念もされたフラッグだが、最近の報道ではトーナメントで待望の復帰を果たす模様。マーチマッドネスのアカウントでは、数々のハイライトが発信されるに違いない。

優勝引受人、稀代のバイプレーヤーのDNAを引き継ぐ男


2位:ディラン・ハーパー

大学:ラトガーズ大学

年齢:19歳

ポジション:ガード

 ハーパーは、この世代に注目が集まるもうひとつの理由だ。もしフラッグとの年齢がひとつでも異なれば、リクルートレーティングサイトでは同選手が1位を獲得していた可能性も高い。

 唯一残念なことは、ラトガーズ大学がNCAAトーナメント出場を逃してしまったことだろう。しかし、スカウトたちはそれをハーパーの責任とは捉えない。かつてマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)やコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)といったレジェンドとともに5個のリングを持つ優勝引受人、稀代のバイプレーヤーだったロン・ハーパーを父に持つだけに血筋は問題ない。この司令塔は、シーズンを通して卓越したパフォーマンスを披露し、平均19.4得点4.6リバウンド4アシスト、フィールドゴール成功率48パーセントを記録している。

 ハーパーは、ケイド・カニングハム(デトロイト・ピストンズ)やジェイレン・ブラウン(ボストン・セルティックス)とも比較される198センチの大型ガードだ。頭脳明晰なサウスポーの天才肌で、質の高いボディコントロールとフットワーク、優れたショットクリエーション能力を兼ね備えており、ピックアンドロールを仕掛ければ、そのクオリエティは間違いなく世代トップクラス。また、『The Athletics』は彼のシグネチャーのひとつであるダウンヒル(縦への突破力)についても高く評価している。

 ディフェンス面でも強い闘争心を示し、粘り強く戦えるタイプ。リム下への侵入を得意とするため、より屈強なビッグマンが待ち受けるNBAでのパフォーマンスについては一部で猜疑的な声も上がっているが、ジャンプショットの精度に磨きがかかれば、その不安は払拭されるはずだ。

アスレチック能力に献身性を加えた“安心感”のある司令塔


3位:VJ・エッジコーム

大学:ベイラー大学

年齢:19歳

ポジション:ガード

 今シーズンは安定感に欠けたベイラー大学のポイントガードだが、シーズン中盤以降、コンディションは上向いてきた。シーズン終盤にもムラが目立ったが、1月中旬からの1カ月間の期間に限定すれば、平均スタッツは19得点、フィールドゴール成功率51パーセント、3ポイント成功率49パーセント、フリースロー成功率87パーセントと上々の成績だった。

 NBA関係者のエッジコームに対するオンボールスキルに対する見解は評価が分かれている。ラッセル・ウェストブルック(デンバー・ナゲッツ)やヴィクター・オラディポ(元インディアナ・ペイサーズほか)に例える者もいれば、爆発的な身体能力を活かしたトランジションベースの3&D型という意見を唱える者もいる。それでもアスレチック性能やクイックネスは世代でも指折りであり、特にオープンフロアでは、最初のステップが速く、スピードチェンジのスキルにも眼を見張るものがある。

 それでも同年のドラフトクラスでトップ3に君臨するのは、同選手に対する“安心感”に由来するという。ハードにプレーし、ディフェンスも一貫性があって非常に献身的。情報筋からもポジティブな意見が多く、スカウトたちの間では「完全に失敗するリスクが少ない選手」と見込まれており、NBAで長きにわたり居場所を見つける可能性が高い。

【動画】衝撃的だったフラッグのルーキーイヤー ハイライト