◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」 W杯には人を狂わせる魅力がある。1年3か月後、北中米の3か国(米国、カナダ、メキシコ)で行われるW杯。毎回のように家財道具を投げ売って観戦に訪れるファンもいるサッカーの祭典で、日本代表は優勝を目指す時代…
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
W杯には人を狂わせる魅力がある。1年3か月後、北中米の3か国(米国、カナダ、メキシコ)で行われるW杯。毎回のように家財道具を投げ売って観戦に訪れるファンもいるサッカーの祭典で、日本代表は優勝を目指す時代になった。森保一監督は「W杯に出て世界一になる、という目標を常に持っている」と堂々と語り、選手たちも「W杯優勝」の目標を口々に掲げる。
そんな発言を聞くたびに時代は変わった、と思う。2014年、ブラジルW杯前に本田圭佑がW杯優勝の目標を公言した時、ビッグマウス、としかとらえることができなかった。あれから11年。世界で活躍する選手も増え、誰もW杯優勝という目標をビッグマウスとは言わなくなった。前回のカタールW杯でドイツ、スペインと優勝経験国を退け、チーム全体の目標として違和感がなくなった。
先日、日本サッカー協会の山本昌邦ナショナルチームダイレクターを取材した。「世界の頂点を目指すためには、とてつもない準備が必要。一生懸命やっても、足りないかもしれない。でも優勝するつもりで準備しなければ、足りないものにすら気づかない。選手がそこを目指す以上、我々もできることはすべてやる」と語っていた。分析、移動や食事、医療体制など、細部にわたる準備の結果が勝敗を分けることは、過去7大会の経験で学んでいる。
過去のW杯優勝国は、アルゼンチン、ブラジルなどわずか8か国。16強が最高成績の日本には、優勝はまだ早すぎるのでは…。そんな思いがよぎるたびに、ああ、自分はまだ準備ができていないな…と恥ずかしくなる。世界一を目指すのであれば、我々メディアも変わる必要がある。残り1年とちょっと。森保ジャパンとともに、W杯に狂ってみたい、とも思う。(サッカー担当・金川 誉)
◆金川 誉(かながわ・たかし)2005年入社。プロ野球担当などを経て11年から主にサッカー担当。W杯は14年、18年、22年大会を取材。