フリースタイルスキー・スノーボードの世界選手権は20日、スイスのサンモリッツで第3日があり、スノーボードのパラレル大回転で、女子の前回覇者の三木(みき)つばき(浜松いわた信用金庫)は決勝で五輪2連覇中のエステル・レデツカ(チェコ)に敗れて…

 フリースタイルスキー・スノーボードの世界選手権は20日、スイスのサンモリッツで第3日があり、スノーボードのパラレル大回転で、女子の前回覇者の三木(みき)つばき(浜松いわた信用金庫)は決勝で五輪2連覇中のエステル・レデツカ(チェコ)に敗れて銀メダルだった。12回目出場の竹内智香(広島ガス)は22位、初出場の豊田亜紗(ヴィクトリア)は38位で予選敗退。男子は9回目出場の斯波正樹(富丘バオバブ保育園)も18位で予選で敗れた。

 スノーボードスロープスタイル予選の女子は村瀬心椛(ここも)(TOKIOインカラミ)が2位、深田茉莉(ヤマゼン)が4位、岩渕麗楽(れいら)(バートン)が5位、鈴木萌々(もも)(キララクエスト)が12位で23日の決勝に進んだ。男子は長谷川帝勝(たいが)(STANCER)、荻原大翔(仙台大)、木村葵来(きら)(ムラサキスポーツ)、木俣椋真(YAMAZEN)、宮村結斗(ムラサキスポーツ)が出場。

■「理想の滑りに近づいている」

 やはり、女王は強かった。スノーボード女子パラレル大回転の金メダルをかけた「頂上決戦」で、日本のエース三木は五輪連覇中のレデツカ(チェコ)に挑んだが競り負けた。2位。大会連覇はならず、「悔しい気持ちでいっぱい。力負けです」。

 伸び盛りの21歳だ。今季のW杯は日本選手初の種目別優勝を果たした。抜群の安定感を誇り、五輪競技ではないパラレル回転とあわせ、総合優勝も。計17大会で13度も表彰台に上がった。

 好調の要因は「道具を変えたことが大きい」と分析する。理想とするダイナミックな滑りを求め、今季から「硬くて反応のいい」ブーツを新調した。アルペンを始めた9歳の頃から履いてきた親しみのあるブーツを変えてまでも進化を求めた。シーズン途中に、馬力を加えるべく、板も約5センチ伸ばした。

 ただ、新しい相棒たちはそう簡単には受け入れさせてくれない。シーズンオフに限っていた筋力トレーニングを遠征中も続け、食事も見直した。筋力強化と体重を増やすことで徐々に使いこなせるようになった。「理想の滑りに近づいている」と実感する。この日の計6本の滑りも力強かった。

 長野県白馬村で生まれ、スノーボードをやっていた父の影響で4歳で板に乗った。雪がほとんど降らない静岡県掛川市に引っ越した後も、両親に頼んで週末は白馬へ。陸上など他の競技に両親らが水を向けても、「スノーボードが一番楽しい」とのめり込んでいった。

 「世界で一番速く山を滑り降りてくる」。幼少期に抱いた野望は、来年のミラノ・コルティナ五輪までお預けだ。「次こそは」。喜ぶライバルを見つめ、雪辱を誓った。(サンモリッツ=山口裕起)

■竹内、決勝逃すも「楽しく滑れた」

 決勝進出を逃したが、表情は充実感に満ちていた。スノーボードの女子パラレル大回転で22位に終わった41歳の竹内は「悔しいけど、楽しく滑れた」。予選2回目でゴール目前にバランスを崩したが、最後まで滑りきった。

 2014年ソチ五輪で銀メダルを獲得するなど、この種目の第一人者だ。ただ、近年は年齢とともに体調の変化も実感する。今季は腰痛に加え、左手をけがし、花粉症も悪化。自身12回目の世界選手権となる今大会は欠場もよぎったが、練習拠点のサンモリッツでの開催とあって出場を決意した。「仲間が背中を押してくれた。お世話になった方に感謝の思いを伝えたかった」との思いだった。

 来年のミラノ・コルティナ五輪に出場すれば、日本女子最多を更新する7大会連続。「最後の五輪になるかもしれない。10年前から同じことを言っているから誰も信じてくれないですけどね」(山口裕起)

 スノーボード男子パラレル大回転で18位の斯波 「決勝に行けずに悔しい。起伏のある難しいコースは得意としていたが、スピードに乗れなかった」