第97回選抜高校野球大会に初出場した滋賀短大付。戦ったのは選手だけではない。マネジャーの北川萌栞(もか)さん(2年)も選手とともに練習に力を尽くしてきた。 「行きまーす」 マイネットスタジアム皇子山の室内練習場で行われるバッティングマシン…

 第97回選抜高校野球大会に初出場した滋賀短大付。戦ったのは選手だけではない。マネジャーの北川萌栞(もか)さん(2年)も選手とともに練習に力を尽くしてきた。

 「行きまーす」

 マイネットスタジアム皇子山の室内練習場で行われるバッティングマシンによる練習。マシンにボールをセットするたびに、北川さんの声が響く。マシンから投じられた球を打者が打ち込む。ほかにも動画を撮影するなど、やることは多い。

 北川さんは小学校まで野球をしていた。双子の弟、倫生(ともき)さん(16)が野球をするのに合わせて、一緒に始めたのだという。中学の時からクラブチームでマネジャーになった。「野球をやるのも好きですけど、やっぱりマネジャーが好きなんです」と話す。小学校から「甲子園でマネジャーとしてベンチに入る」ことを夢見てきた。

 「でも、やっぱりマネジャーを辞めようかなと思ったことはありますよ。放課後は部活ですべて終わってしまうから、友人との間にすれ違いが生まれてしまれることも……。でも、野球部のみんなの顔を見たら忘れてしまいますね。ほんと、楽しい。元気が出ます」

 「ほんま男の子はアホやな、かわいいなと思って接しています」と北川さん。練習の一生懸命な姿と、練習が終わった後の脱力感。そのギャップが楽しいのだという。

 部員から「彼女への誕生日プレゼントはどうしたらいい?」なんて相談を受けることも。

 それは、大好きな弟の姿とも重なる。

 倫生さんは実家の滋賀県東近江市を離れ、三重県の神村学園伊賀高の野球部の寮で暮らしている。北川さんは倫生さんと毎日電話するほど仲が良いという。

 「いつか、弟も三重から甲子園に出場して、私も滋賀短大付のマネジャーとして、甲子園で会えたらいいな、と思っています。それが私の夢ですね」(坂上武司)