今回で5シーズン目となるクラブ決算概要レポート。皆さまのおかげで5周年となりました。いつもありがとうございます! 今回は20…

 今回で5シーズン目となるクラブ決算概要レポート。皆さまのおかげで5周年となりました。いつもありがとうございます! 今回は2024年11月19日に発表された「B.LEAGUE 2023−24シーズン(2023年度)クラブ決算概要」をもとに、『営業収入』についてレポートします! マイチームとリーグの現在地を知っていただければ幸いです! 現在進行中のシーズン決算ではなく、昨シーズンの決算についてのレポートですのでご注意ください(井口基史)。

文=井口基史

■驚きのアップは横浜BCとSR渋谷!


 2023年バスケW杯、2024年パリオリンピックと2年連続で行われた、バスケの世界大会。その恩恵を大きく感じられるのが、昨シーズンから横浜ビー・コルセアーズが9億円、サンロッカーズ渋谷が8.4億円という大きな営業収入増です。

 国際大会で大活躍し、露出も増えた河村勇輝選手(現メンフィス・グリズリーズ/ハッスル)とジョシュ・ホーキンソン選手を抱える両チームは、SR渋谷が入場料収入を1.1億円増、スポンサー収入が6.7億円増と伸ばしています。横浜BCは入場料収入が3.0億円から7.1億円へ4.1億円増加に加え、スポンサー収入が4.4億円から7.0億円と2.6億円増加と、リーグ1位の営業収入増になります。横浜BCの2021−22シーズン(2021年度)の営業収入は、昨季のアップ額を下回る8.9億円でしたので、長年のビーコルの苦労が報われたシーズンだったと思います。

【大幅な営業収入アップ】

・横浜BC:営業収入12.0億円(B1・16位)→21.0億円(B1・7位)→9.0億円UP

・SR渋谷:営業収入12.3億円(B1・15位)→20.7億円(B1・8位)→8.4億円UP

■その差から目を背けない


 営業収入1位のアルバルク東京と24位の富山グラウジーズの差は22.9億円と大きな差があります。昨シーズンの両チームの差は20.0億円でしたので、その差がさらに広がったことが分かります。全て平等といかないのがプロスポーツの世界。この差が与えるインパクトはトップチーム人件費のレポートでも触れていますので、ぜひチェックしてみて下さい。

【井口基史のスカウティングレポート】やっぱり気になるお金について『トップチーム人件費』ランキング2023年度版(前編)

 Bリーグ発足から数シーズンは、その差を埋めるべく、スカウト能力や創意工夫で乗り越えてきた事例も見られましたが、もはやそれだけでは乗り越えられない差を、直視しなくてはならないでしょう。これまでと同じ県民球団や、地域密着スタイル、専用アリーナ無しでは届かない壁にぶつかり、新しい形態へのチャレンジが必要な時代に入りました。

■入場料収入は大丈夫か?


 B1平均入場料収入:3.8億円に対して、入場料収入が2億円未満で、苦戦しているチームが見受けられます。普段のホームゲームでの観客席の景色と、マイチームの入場料収入を見比べると、リアルなチケット販売力がみえてくると思います。スポンサー収入に依存しない、ファン・ブースターが支えるチームと呼べるのかも、営業収入の内訳で分かると思います。

【平均入場料収入】

・B1 3.8億円

・B2 1.0億円

【B1、B2入場料収入】

・B1トップ:琉球12.0億円

・B1 24位: FE名古屋1.3億円

・B2トップ:滋賀2.0億円

・B2 14位: 岩手0.4億円

【B1入場料収入2億円未満】

①FE名古屋1.3億円

②三遠 1.6億円

③富山 1.6億円

④三河 1.7億円

⑤長崎1.8億円

⑥大阪1.8億円

⑦京都1.9億円

■Bプレミア初年度に間に合わないチームは?


 2026−27シーズン開始のBプレミアには、現在のB1からファイティングイーグルス名古屋と越谷アルファーズが、初年度からの参戦には間に合わないことが分かっています。しかし営業収入がともに10億円を越えていることから、コート上の選手・コーチだけでなく、球団スタッフも初年度からの参加に向けて戦っていたことがうかがえます。平均観客数、アリーナなど抱える課題はそれぞれにあるとはいえ、Bプレミアの3次審査・売上高9億円以上は達成していたということで、彼らの悔しさが想像できると思います。

【初年度Bプレミア参戦見送りのチーム】

・FE名古屋売上11.2億円

・越谷   売上10.1億円

■B1昇格に必要な営業収入はいくら?


 2024−25シーズンにB1復帰した滋賀レイクスは12.8億円、初昇格の越谷アルファーズは10.1億円を計上しています。平均すると11.4億円がB1昇格に必要な営業収入の目安になりそうですが、現在B2の神戸ストークス12.0億円、アルティーリ千葉15.3億円と、すでにB1営業収入ランキングで20位以内に入れる規模です。そのため、たとえマイチームが昇格組の平均営業収入11.4億円を超えていたとしても、安心だとはいえないでしょう。

【2024-25シーズン昇格組】

・滋賀:営業収入12.8億円

・越谷:営業収入10.1億円

平均11.4億円

 目の前のゲームを楽しむことがなにより大事ですが、マイチームの現在地を知ることで、ホームゲームの景色で分かることや、感じることも変わってくるかもしれません。知りたかったこと、知りたくなかったことも乗り越えて、マイチームをもっと愛そう。5年目となったこのレポートに、最後までお付き合いありがとうございます。一緒に日本のバスケを熱くしましょう(井口基史)。

※レポートの金額は分かりやすく表現するため、すべて切り捨てにしてありますのでご了承下さい