選抜高校野球1回戦(18日、甲子園)○花巻東(岩手)10―2米子松蔭(鳥取)● 花巻東が14安打10得点。持ち味のパワフルな打力を序盤から発揮し、甲子園に快音を響かせた。流れを引き寄せたのは木製バットで登場した2年生の4番だ。 一回、…

【米子松蔭-花巻東】一回裏花巻東1死一、二塁、赤間が先制の適時二塁打を放つ=阪神甲子園球場で2025年3月18日、長澤凜太郎撮影

選抜高校野球1回戦(18日、甲子園)

○花巻東(岩手)10―2米子松蔭(鳥取)●

 花巻東が14安打10得点。持ち味のパワフルな打力を序盤から発揮し、甲子園に快音を響かせた。流れを引き寄せたのは木製バットで登場した2年生の4番だ。

 一回、先頭打者の高橋朔太郎が左前打で出塁。犠打と四球で1死一、二塁とし、4番の赤間史弥が打席に入った。1ボールからの2球目。甘く入ってきたカーブを振り抜いた打球はグングン伸び、中堅手の頭上を越える先制打となった。

 さらに5番・高橋蓮太郎が木製バットで中犠飛を放って追加点。6番・山崎力も左翼線への適時二塁打でこの回一挙3得点を奪って主導権を握った。

 赤間の木製バットでのフルスイングを見た米子松蔭の捕手・惣郷峻吏(しゅんり)は、「非常に強いスイングで……」と思わず言葉を失った。一方で赤間は「初回に得点することを意識していた。しっかり(バットの)芯で捉えることができた」と手応え十分だった。

 昨秋の4番は、プロ野球の巨人などでプレーした茂幸さんを父に持つ2年生の古城大翔(だいと)が務めた。しかし、ケガで本調子ではなかったため、センバツの4番には打力が売りの赤間が入った。身長180センチ、体重98キロのパワーを生かし、3打数2安打2打点の活躍で強烈なインパクトを与えた。

 昨春から反発性能を抑えた低反発バットが本格的に導入された。「長打が出にくい」という声が聞かれる中で、佐々木洋監督は「不利になったのではなく、本来の普通のバットに戻った。だからしっかり振らないと(打球が)飛ばない」と選手に何度も伝えてきた。

 そこには思いもある。OBである大谷翔平(ドジャース)や佐々木麟太郎(米スタンフォード大)といったスラッガーが海を渡ったように、「打撃技術を上げて(米大リーグなど)上のステージでも活躍できるように」と世界を見据えているからだ。チームは「低反発バットでも長打」を目標に掲げる。

 赤間は、大谷が高校時代につけた背番号「17」をつける。花巻東の17番といえば大谷だけでなく、菊池雄星(エンゼルス)もつけた験のいい番号だ。しかし、赤間は周囲の期待の高さに浮かれることなく「この背番号に恥じない活躍をしたい」と気を引き締めた。【磯貝映奈】