今週は、春の古馬牝馬重賞戦線を占う、新たにリニューアルされた重賞、第62回愛知杯(GIII、芝1400m)が中京競馬場で行われる。今年は、オークス6着以来の実戦となるスウィープフィートや、3連勝でスワンS1番人気に支持されたクランフォード、…

今週は、春の古馬牝馬重賞戦線を占う、新たにリニューアルされた重賞、第62回愛知杯(GIII、芝1400m)が中京競馬場で行われる。

今年は、オークス6着以来の実戦となるスウィープフィートや、3連勝でスワンS1番人気に支持されたクランフォード、シルクロードS2着のグランテストや、エトヴプレ、コラソンビート、シングザットソング、テイエムスパーダ、イフェイオンといった重賞ウイナーに加え、オードリーバローズやベガリスなどの上がり馬が激突するなど、どこからでも狙えそうな混戦模様だ。

そんな中、シルクロードSで4着に好走のカピリナが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■距離、コース経験が大きくモノをいう舞台

デビュー当初はダートを使われてきたカピリナだったが、昨夏に芝の短距離に矛先を変えると、順調に条件クラスを勝ち上がった。初重賞挑戦となった前走のシルクロードSでは、2番人気に支持され、やや後方の位置から、終い脚を伸ばして勝ち馬から04秒4差の4着に好走。重賞でもやれる手応えを持って、愛知杯で初重賞奪取に臨む。

今年から施行時期や条件など、新たに生まれ変わった愛知杯。ゆえに、参考となるデータは少ないが、中京芝1400mの特徴などを踏まえて考察していきたい。まずは距離について。過去10年、中京芝1400mのレースで、前走が同距離だった場合、勝率7.5%、連対率14.9%、複勝率22.4%だったのに対し、1600mからの転戦は、勝率8.0%、連対率15.3%、複勝率23.3%と、1ハロンの距離短縮で臨んだほうが好走率は高い。一方、芝1200mからの臨戦は、勝率4.8%、連対率10.2%、複勝率14.7%と、同距離やマイル戦からの臨戦よりも分は悪く、距離延長で臨むのはやや割引き。スタート後、しばらく緩やかな上り坂で、最後の直線は中山競馬場芝コースに次いで傾斜がきつい坂が設けられているタフなコースであることは関連していそうだ。

カピリナは、ダート戦では1400mで勝ち鞍はあるものの、芝では一貫して1200mを使われており、芝で初距離となる1400mという点は、決して明るい材料ではない。

また、前走が中京だった馬の成績も、勝率10.6%、連対率17.1%、複勝率23.5%は、他場との比較でいずれもトップ。中京での実走経験の有無は、結果に大きな影響を及ぼしている。カピリナは、左回りでは芝・ダートを含めて【2.2.0.0】と完璧だが、今回中京が初となる点は、減点材料といえる。

加えて、過去10年の中京芝1400mで、オープン以上のレースにおいて、東西所属別の成績を見てみると、関東馬が【6.2.5.71】で勝率7.1%、連対率9.5%、複勝率14.0%であるのに対し、関西馬は【16.20.17.157】で勝率7.6% 連対率17.1% 複勝率25.2%と、いずれも関西馬が関東馬を大きく上回っている。中京は栗東からの輸送時間も短く、競走能力への影響は、やはり関東馬よりも少ない。この点も、関東馬のカピリナにとっては不利といえるだろう。

血統面でも懸念材料がある。カピリナの父ダンカークは、産駒のデビュー以来、いまだ重賞で勝ち星はなく、平地重賞では【0.0.0.35】と全滅。産駒は芝よりもダートの活躍馬が多く、芝の重賞となるとワンパンチ足りない可能性は十二分に考えられる。さらに、芝の1200m戦では3勝クラス勝ちが3勝あるのに対して、同1400m戦では2勝クラス止まり。ダンカーク産駒ということで強調材料に欠く点が多い。

1ハロンの距離延長や、初の中京コース、不利な関東馬、ワンパンチ足りないダンカークの産駒など、信頼できる材料は少なく、人気に推されるようなら、妙味はないと考え、今回のカピリナは、思い切って「消し」でいってみたい。

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。