第97回選抜高校野球大会が18日、開幕する。今大会に出場する32校は古豪から新鋭まで幅広い。主な話題やエピソードを紹介する。 昨年1月の能登半島地震で学校施設が大きな被害を受けた日本航空石川。昨秋の北信越大会で準優勝し、2年連続の選抜大会…
第97回選抜高校野球大会が18日、開幕する。今大会に出場する32校は古豪から新鋭まで幅広い。主な話題やエピソードを紹介する。
昨年1月の能登半島地震で学校施設が大きな被害を受けた日本航空石川。昨秋の北信越大会で準優勝し、2年連続の選抜大会をつかんだ。
選手たちは昨春、山梨県内の系列校に一時練習拠点を移して準備した。中村隆監督は「特別すぎる環境で、冷静にやろうとしても選手たちがふわふわしてしまった」と振り返る。いまは学校がある石川県輪島市に戻っている。昨年は1回戦で敗れた。「今年はじっくり練習ができている」と雪辱を期している。
■最多出場校が狙うは65年ぶり優勝
今回の出場校で最多となる29回目の出場となる高松商(香川)。第88回大会(2016年)で20年ぶりに選抜に出場し、準優勝を果たした。狙うは第32回大会(1960年)以来の3度目の優勝。長尾健司監督はその日を願い、体育教官室の引き出しに当時の優勝メダルをしのばせる。
その高松商が1回戦で対戦するのは、22回目の選抜となる早稲田実(東京)だ。両校は第1回大会(1924年)の決勝で対戦し、高松商が2―0で勝利。選抜では101年ぶりに顔を合わせる。
■初の甲子園 監督は家庭科教師
春夏通じて初の甲子園をつかんだのは6校。そのうちの1校で21世紀枠で選ばれた横浜清陵(神奈川)の野原慎太郎監督は家庭科教師だ。進学した大学での「ジェンダー論」などに衝撃を受けた。「食は人間関係を深める」と選手らに栄養指導をする。部員たちが食事をともにすることを重視する。
至学館(愛知)の鈴木健介監督は23年秋に就任した。今回が監督として初の甲子園。「監督」ではなく、「鈴木先生」と呼ぶよう選手に伝え、活発に対話している。
■スマホは禁止 結束強めたのはアニメ
天理(奈良)は野球に集中するため、寮にスマートフォンを持ち込むことを禁止している。昔ながらの緑の公衆電話で家族や先輩と話す光景がいまも広がる。一方で、共用パソコンで部員らが一緒にアニメを見るなど、野球以外の場でも結束を強めることにつながっている。
明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督は、今大会で春夏合わせて甲子園39回出場で歴代1位となる。モットーは「耐えて勝つ」。口癖は「1ミリでも得になることをしろ」。守備を鍛え、犠打を確実に使うスモールベースボールを展開する。
■「あんな経験二度と…」練習グラウンドには負けスコア
聖光学院(福島)の練習グラウンドのスコアボードには、昨秋の明治神宮大会1回戦のイニングスコアが刻まれる。東洋大姫路(兵庫)と対戦し、0―10の五回コールド負けを喫した。その時の悔しさを強さに変えるため、厳しい練習を積んできた。竹内啓汰主将(3年)は「あんな経験は二度としたくないし、してはいけない」。悔しさをバネに、優勝をめざす。
西日本短大付(福岡)の応援席には久しぶりに「ひょうたんバットの応援団長」が戻ってきそうだ。
1992年夏の甲子園優勝以来、長さ約1メートル超の「ひょうたんバット」を振り回して声援を送り続けていた平岡三光さん(84)。昨夏は体調を崩し、4年前の夏の甲子園もコロナ禍で応援が制限され、スタンドに足を運べなかった。今回は応援に駆けつける予定だ。