櫻井周斗が自費での台鋼ホークス入団テスト合格「本当に決まってよかった」 楽天を昨季限りで戦力外となった櫻井周斗投手が、台湾プロ野球・台鋼ホークスに入団することが決まった。12球団合同トライアウトを受けるもNPB球団からのオファーはなく、引退…
櫻井周斗が自費での台鋼ホークス入団テスト合格「本当に決まってよかった」
楽天を昨季限りで戦力外となった櫻井周斗投手が、台湾プロ野球・台鋼ホークスに入団することが決まった。12球団合同トライアウトを受けるもNPB球団からのオファーはなく、引退か海外挑戦かで揺れた1か月。自費での入団テストに合格して海を渡ることになった経緯や心境を語った。
DeNAで6年間プレーした櫻井は、2023年オフの現役ドラフトで楽天に移籍した。しかしわずか1年で野球人生の岐路に立った。「昨季後半は自分でも納得行っていないというか、正直もうこれはきついだろうと思っていたので、もちろん落ち込みましたけど想定内というか……。ただトライアウト後に希望したオファーがこなかったのは、自分が思っている実力より、他者からの評価はそうでもないんだなというのにショックを受けました」。
トライアウトでの手応えはあった。しかしNPBでの現役続行を希望しながらも、それが叶わない現実。「引退」の2文字が頭をよぎる。先輩や裏方さんにも多くの助言をもらい、悩み抜いた。最後は「25歳という年齢もあって、海外に行くチャンスは今しかない」と挑戦を決意。カリブ海地域ウインターリーグ野球王者を決定する「カリビアンシリーズ」に、日本チーム「ジャパンブリーズ」の一員として参加し、台鋼ホークスの入団テストの機会を掴んだ。
入団テストは2日間にわたって行われた。練習試合で2イニングずつ、計4イニングが予定されており、初日は最速146キロをマークして2回無失点。しかし2日目がグラウンドコンディション不良で中止となり、ブルペン投球に変更されてアピールの機会は減ってしまった。それでも無事に吉報が届き「安心しました。実際、昨年10月から5か月くらいフリーだったわけですから。本当に決まってよかったです」と胸をなでおろした。
契約は前期のみで2軍からのスタート…外国人枠を巡る争いも
とはいえ“外国人選手”として挑む台湾球界も、厳しい戦いが待っている。2024年に新規参入した球団のため外国人枠は「5」だが、元オリックスの吉田一将投手、スティーブン・モヤ内野手、ほかに米国人選手もいる。櫻井は2軍からのスタートで、現状の契約は前期(6月まで)のみのため、自身のパフォーマンスを発揮して後期の契約を勝ち取らなくてはいけない。
「1回戦力外になった時点で、たぶんここからNPBに戻れる可能性はほぼないと思っています。そういう能力があると見られていれば、育成で獲ってもらっていてもおかしくない。それすらなかったので。NPBに戻ることだけを考えたら独立リーグとか2軍球団でやったほうが確率が高いと思うんです。でも僕は高卒で入ってもう7年間やったので、正直厳しいかなと。今はできるだけ長くプロのリーグでやりたい。体が動く限りはやりたいと思っています。だからまずは、台湾で何とか1シーズンやり抜きたいと思っています」
働き場に決めた台湾の地で、競争を勝っていくことが直近の目標となる。まだ25歳。その先に待つ可能性は広がっている。(町田利衣 / Rie Machida)