NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25ディビジョン1 第11節(交流戦)2025年3月15日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)静岡ブルーレヴズ 22-17 埼玉パナソニックワイ…
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第11節(交流戦)
2025年3月15日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 22-17 埼玉パナソニックワイルドナイツ
選手も、そしてファンも。雨中で披露したベストパフォーマンス
埼玉パナソニックワイルドナイツ相手に、ディフェンスでプレッシャーをかけていき勝利をもぎとった静岡ブルーレヴズ
冷たい雨が降る中で行われた、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)対埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)の一戦。さすが上位対決といった激しいバトルを制したのは、静岡BRだった。22対17で一昨季の金星を再現するような勝利。埼玉WKはその敗戦以降続けていたリーグ戦27戦無敗の記録を、またも静岡BRに止められてしまった。
試合開始前から降り出した雨が、次第に強さを増していった。プレーする選手にとっては非常にタフな状況となる。両者とも滑るボールやグラウンドに苦戦する場面も見受けられたが、その中でも静岡BRは粘り強いディフェンスを見せた。
クワッガ・スミスが「この試合に向けて『タックルしてからのファイトをしっかりしよう』という話をしていた」と言うとおり、静岡BRの選手たちは埼玉WKに襲い掛かるように、懸命なディフェンスを披露した。埼玉WKがペナルティゴールを狙うようになったことで「自分たちのディフェンスが機能しているという自信が付いた」と話すのはサム・グリーン。規律を守りつつ、埼玉WKの再三の猛攻をしのぎ続けた。
また、藤井雄一郎監督が「サポーターのみなさんのおかげで勝つことができた」と語ったように、雨の中にも関わらず、駆け付けた5,302人が背中を押したことも、勝利につながった。
スタンドとグラウンドの距離が近いのが特徴のヤマハスタジアム。埼玉WKのロビー・ディーンズ監督は「日本の中でも有数の会場」と手放しで賛辞を送り、佐藤健次も「声援がすごくてサイン(コール)が聞こえないときがあった」と話すほど、一体感が生まれていた。
ファン(レヴニスタ)にとっても観戦にはつらい天候だったはず。グリーンは「このコミュニティのすごさを感じますし、静岡の街の方たちがたくさん来てくれた中で勝てたことをうれしく思います」と、雨の中でも熱い声援を送り続けたファンへ感謝を述べた。
雨にもかかわらず5000を超える観客がスタンドで声援を送った
リーグワン全体に目を移しても、今季は特に実力が拮抗し、好ゲームが続いている。下馬評を覆す、いわゆる“ジャイアントキリング”も、ホストゲームで生まれていることが多い。その一因には、この日のようなファンの大声援が関係しているに違いない。チームもファンも、ベストパフォーマンスを見せたからこそつかんだ勝利だった。
(齋藤弦)
静岡ブルーレヴズ
静岡ブルーレヴズの藤井雄一郎監督(右)、クワッガ・スミス キャプテン
静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「勝つことができて良かったと思います。ブレイクダウンのところでコンテストしようということで、アタックもディフェンスもペナルティを少なく戦うことができました。選手はよく頑張ってくれました」
──プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた作田駿介選手の評価を教えてください。
「もともと2番と3番を早めに入替するプランで、彼はその中でセットピースをよくやってくれたと思います。彼は首の太さが56cmあるので、それなら(身長が)3mくらいあってもいいと思いますが(笑)、それくらい努力しています。それで信頼を勝ち取って後半から頑張ってくれました。ラインアウトのスローイングも良かったと思います」
──これまでの試合ではディフェンスが課題となることもありましたが、どういったところが良くなっていきましたか?
「ディフェンス自体は良かったと思いますが、ペナルティが多くなっていました。今日に関しては一人が上に入って、もう一人が下に入っていくディフェンスができていました。ペナルティをしているようでは埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)には勝てないですから、タックルしたあとに一歩も引かないように、選手たちがやってくれたと思います」
──今季は昨季のファイナリスト2チームを相手にホストゲームで勝利を収めました。その点についてはいかがでしょうか。
「サポーターのみなさんのおかげだと思います。僅差の試合展開の中で、みなさんの声援のおかげで勝つことができました」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「勝ってうれしく思います。埼玉WKはすごく強いチームですので、試合開始から20分くらいは相手の圧力を受けてしまった部分がありました。しかし、自分たちが良いディフェンスをできたと思っています。相手がペナルティキックでポイントを取ってきましたが、自分たちもトライを取る、得点を重ねることができたことが良かったと思いますし、選手たち全員がハードワークをして頑張ってきた結果だと思っています。埼玉WKに勝てたことは、自分たちの自信になっていくと思います。ただ、まだまだリーグ戦は長いので、1試合1試合をしっかりと勝っていくために準備をしていきたいと思っています」
──ディフェンスのどういった部分が良かったですか?
「ディフェンスが機能していると、アタックするほうはすごく難しいと思います。自分たちの規律のところがすごく良かったと思っていて、ペナルティも少なかったですし、この試合に向けて『タックルしてからのファイトをしっかりしよう』という話をしていて、そこでしっかりと時間を稼いで、相手のアタックをスローダウンさせることができていました。その間に自分たちのディフェンスをセットするところを意識してやってきましたので、そこはうまくできたと思っています」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督(右)、山沢京平ゲームキャプテン
埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督
「このスタジアムにまた戻ってくることができ、プレーできたことをうれしく思います。日本の中でも有数の会場となっておりますし、今日も例外なく、このスタジアムで行われる試合というのはすごく良いイベントがたくさんあって、楽しいものになっています。簡潔に申し上げると、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)さんはすごくレッスル(困難な状況に取り組むこと)が好きなチームだと思います。相手チームにプレッシャーを掛けるのを好むチームで、それがわれわれに疑念をもたらし、耐えることができなかったと感じています。自分たちのミスが多く、それがこのような結果になってしまったと思います。この経験を次に生かしていきたいと思います」
──リーグ戦で敗れたのは一昨季の静岡BR戦以来で、またも雨の試合でした。苦手な感覚などはあったのでしょうか?
「いいえ、思っていないです。良いリサーチをされていますね(笑)。彼らはわれわれと戦うことを楽しみにしているチームだと思いますし、とても粘り強さがあると感じています」
──今季は山沢京平選手がゲームキャプテンを務めることがありますが、どういった意図で託しているのでしょうか?
「みなさんご存じのように、彼は素晴らしいシーズンを過ごしています。彼自身、自分の役割に対して責任をもっていますし、準備のところでも責任をもっています。チームのダイレクターとしてパフォーマンスしてくれているのが彼ですので、とても簡単な選択だと思っています」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
山沢京平ゲームキャプテン
「シンプルに静岡BRさんの圧力が強かったというのと、自分たちのラグビーを80分間とおしてやろうとしたところでミスをしてしまい、自分たちの流れにもっていきたいところを逆に相手に渡してしまった部分があったので、難しいゲームでした。次に向けて頑張りたいと思います」
──試合開始直後から攻め続けていましたが、どういった要因でスコアを取り切れなかったのでしょうか?
「静岡BRさんがしっかりとしたディフェンスをしてきて、自分たちが相手の22mラインより内側に入ったときにやりたいアタックができませんでした」
──残り時間が少ない中で、ペナルティをもらったときにすぐにリスタートした意図を教えてください。
「スペースがあったので、早めにボールを渡して良いテンポでアタックしたかったのですが、ミスが起きてしまいました。今日はちょっとミスが多かったと思います」