NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25ディビジョン2 第8節2025年3月15日(土)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)九州電力キューデンヴォルテクス 30-35 NEC…
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第8節
2025年3月15日(土)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス 30-35 NECグリーンロケッツ東葛
入替戦圏内の2位浮上も満足せず。D1昇格へ、課題に目を向け、ブレずに突き進む
NECグリーンロケッツ東葛のフルバック、宮島裕之選手はゲームコントロールについて振り返った
東平尾公園博多の森陸上競技場は、冷たい雨と寒風が吹きすさぶ悪天候に見舞われたが、グラウンド上では熱くも激しいバトルが繰り広げられた。
前半、風上に立った九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)が優勢に試合を進め、相手の勢いを止め切れないNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は苦境に立たされていた。
「風下で、ペナルティもあり、前半は相手にかなりのチャンスを与えてしまったので、後半はこちらが相手にそれをやり返そうという話をした」(ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ)
NECグリーンロケッツ東葛を率いるウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ
後半の巻き返しに向けて、ピヴァック ヘッドコーチが選手に伝えたのは、規律をもってプレーすることと、前半はほとんどできなかった敵陣への侵入だった。
では修正が奏功し、後半は狙いどおりの試合運びができたのだろうか。この試合でフルバックを務めたGR東葛の宮島裕之は「思ったよりもうまくいかなかった」と試合を振り返った。
風上という条件を利用して、キックを多用することでテリトリーを回復していく。しかしその意識が強過ぎるあまり、チーム全体が「攻め急いでしまった」と宮島は語る。
「もっとスローボールにしてから、キックを蹴ってエリアを取ることをしても良かったと思います。最後の最後はできましたけど、そこのゲームコントロールは僕と(リース・)パッチェルでもっとやるべきでした」
そしてさらに、宮島が指摘したのがペナルティの多さだ。「前半だけで9個のペナルティがありましたし、後半にうまくいかなかったのもペナルティが原因です」と反省の弁を述べるとおり、GR東葛がトライとコンバージョンゴールで加点しても、九州KVにペナルティゴールを決められ、突き放す展開へ持ち込めない。
「フォワードもパワーで勝っている。バックスも我慢して止めることができている。自分たちの力に自信をもってやるにはペナルティをなくすこと」(宮島)
GR東葛はこの勝利でD1/D2入替戦圏内の2位に浮上した。ただ、GR東葛がシーズン開幕前に掲げた目標はトップ2に入ることではなく、入替戦に勝ってD1へ戻ることである。悪天候の中、敵地で逆転勝利を収めてもなお、課題に目を向ける宮島の言葉からは、絶対にその目標をブレさせてはいけないという強い意志が感じられた。
(鈴木潤)
九州電力キューデンヴォルテクス
九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ(左)、ウォーカー アレックス拓也キャプテン
九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ
「今日は悪天候の中、グラウンド設営などでご尽力いただいた皆さまに感謝申し上げます。前半の入りが良く、風上でしっかりと戦えて、準備してきた良いエナジーといいますか、戦術というよりは選手たちが良いエナジーをもって前半を戦えたことを自信にしてほしいと思いますし、後半もあと少しのところで勝ちを逃す形になりましたが、やってきたことは間違っていないと思います。しっかりヘッドアップして残りの試合を一つひとつ戦っていきたいと思います」
──相手のタックルの的を絞らせない攻撃ができていたと思います。アタック面の手ごたえはいかがですか。
「そこは特にこのゲームだからといって意識したことではないですが、ゲーム中に選手たちがしっかりコミュニケーションを取って、常にアタックのオプションをもつということは普段から言っていますし、それが今回のような悪天候の中でもできたことは良かったと思います」
九州電力キューデンヴォルテクス
ウォーカー アレックス拓也キャプテン
「まずは今回、試合を開催するにあたり、ご尽力いただきました皆さま、本当にありがとうございます。先ほど今村(友基)ヘッドコーチから話があったように、前半は自分たちのやりたいことができ、勢いもあったと思います。後半は自分たちのちょっとしたミスのところをつけ込まれることもありました。自分たちのやりたいことは明確に見えているし、自分たちがやらなければいけないことをやり切れば、うまくいくという自信を得ることはできました。逆に自分たちがやらなければいけないことができない場合は、NECグリーンロケッツ東葛さんのようにフィジカルの強いチームにはつけ込まれてしまうと思いました。後半戦はまだまだ試合が続きますので、しっかり今回学んだことに自信をもってやっていきたいと思います」
──拮抗した試合で勝つチャンスもありました。こうした試合で勝利を手繰り寄せるためには何が必要だと思いますか。
「試合中は自分たちのミスでやられたところがありますので、そこの質を上げるしかないと思います。練習中からそこは厳しくやっていかなければいけないですし、逆に相手につけ込まれた時間があったとしても、自分たちがエナジーを落とすわけではなくて、トライを取られたあともハドルで話をしたんですが、そこから取り返すためにもっとそこでアクションを起こしてやっていくしかないと思います」
NECグリーンロケッツ東葛
NECグリーンロケッツ東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ(右)、マリティノ・ネマニ キャプテン
NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ
「ここに来て5ポイントを取り切ることをゴールとして本日の試合に臨みました。5ポイントを取り切れたことはうれしく思います。本日の結果を受けて順位表では2位まで上がることができ、シーズンの最後のゲーム、D1/D2入替戦に一歩近づくことができたと思います。昨季、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)のホストゲームは12対8で勝利をすることができましたが、それを受けて前節の(GR東葛の)ホストゲームで九州KVに勝利したことは何も意味をなさないと思っていました。なぜならば九州KVのホストゲームはタフな試合になることが分かっていたからです。実際に九州KVが前半は風上で良いプレッシャーを掛けてきたため、こちらとしては走らされたところがありました。ただ、最終的に勝利することができ、ティノ(マリティノ・ネマニ)をはじめとする選手たちが、設定した5ポイントを達成してくれたことはうれしく思います」
──ハーフタイムにはどのようなことを修正されたのでしょうか。
「完全に修正し切れたかどうか分かりませんが、話したポイントの一つが規律です。前半だけで9回のペナルティがあり、イエローカードを出されてしまったという話をハーフタイムにしました。風下で、ペナルティもあり、前半は相手にかなりのチャンスを与えてしまったので、後半はこちらが相手にそれをやり返そうという話をしました。修正できた部分もあったとは思いますが、立て続けにペナルティを与えてしまった場面もあったので、完全に修正し切れたかは疑問です。あとはテリトリーとポゼッションを増やしてトライにつなげるということも話し、トライ自体はできました。ただ、80分をとおして高いゲームレベルを貫くことを目指していますし、80分をとおして良いパフォーマンスができるチームが良いチームだと思っています」
NECグリーンロケッツ東葛
マリティノ・ネマニ キャプテン
「九州KVにとってのホストゲームはタフなゲームになるということは、私も分かっていました。ウェイン(・ピヴァック ヘッドコーチ)が言ったように、前半は選手にとってはキツい時間でしたが、ハーフタイムには後半に向けて修正しようと話し合いました。選手たちは、その話した部分の修正が遂行できたと思います。そして最後に良い勝利を収めることができました」