3月18日から第97回選抜高等学校野球大会が始まる。13日、14日には甲子園練習が行われ、出場32校が練習を行った。これ…
3月18日から第97回選抜高等学校野球大会が始まる。13日、14日には甲子園練習が行われ、出場32校が練習を行った。これまで秋の成績でしかイメージできなかった代表校の力がこの甲子園練習から見えてくる。
前評判以上の学校、仕上がりが遅いチームなど3人の記者が語り合った。
今年のセンバツを代表する横浜、東洋大姫路、健大高崎の3強はどうだった?
A:甲子園練習って発見が多いんですよね。
B:そうですね。前評判通りのチームもあれば、前評判が低くても「このチームはブレイクするんじゃないか」と思わせる学校もあります。
A:過去には、どんなチームが甲子園練習で光りましたか?
B:昨年の大社ですね。馬庭 優太投手(東洋大)が想像以上に良くて……。もしかすると優勝候補だった報徳学園が負けてしまうのでは?と思ったほど。実際にそうなってしまいましたね。
C:自分も大社の練習を見て、報徳学園が危ないと思いました。
A:では今年の優勝候補・横浜、健大高崎、東洋大姫路の3強から語っていきましょう。健大高崎のエース・石垣 元気投手(3年)の脇腹の負傷が判明してしまいましたね。
B:その情報を明徳義塾の馬淵史郎監督から知ることになりました(笑)。14日の午前中、明徳義塾が練習していたんですが、練習が終わって監督の馬淵さんが「石垣が調子悪いね。怪我しているんじゃないの?」と記者陣に話していて、みんな驚きました。午後に健大高崎の練習になったら、石垣は投げていなかったので、聞いてみると、「脇腹、腰の張りが…」みたいなことを語っていて…。監督の青柳(博文)さんも「脇腹を痛めてます」と話してくれました。
C:私は健大高崎を優勝予想していたんですけど、今回の事態で外したくなりましたね。石垣が無理だと厳しいでしょう。
B:ただその中でも打撃は非常に良かった。捕手の小堀 弘晴(3年)が左中間の最深部に本塁打を打っていました。甲子園練習を見た中で一番飛ばしていたと思います。
A:私も健大高崎を取材した時は、小堀が非常に良くて打者では最も飛ばしていました。
C:健大高崎では、小堀のほかに、野手でベンチ入りする佐藤 龍月投手(3年)の打撃はかなり良かったですね。しっかりと飛ばしていました。彼は野球センスは抜群で、何でもできる選手ですね。
B:続いて横浜。雰囲気が良かったですね。甲子園の景色にしっかりと慣れるために、いろいろ準備しているのが分かりました。一つ一つの動きを見ても、強いチームというのが感じられました。
A:東洋大姫路は岡田龍生監督が打撃陣について悲観的なコメントを出して、躍進を期待するファンから不安の反応が広がりました。
C:そんなに悪くなかったと思います。近畿大会、神宮大会での打撃を期待すると物足りなさを感じました。それでも甲子園練習を見た中でも、打撃レベルは上位に入ると思います。
B:東洋大姫路についてはいきなりプロ注目の好投手と対戦する組み合わせではなかったのが救いではないでしょうか。勝ち上がる中で打撃の調子を上げれば理想的だと思います。
A:それでもエースの阪下 漣投手(3年)の安定感は抜群ですね。
C:取られても2、3点ぐらい。それくらいずば抜けていますし、なかなか打てない投手だと思います。
A:東洋大姫路は4日目の登場になりますので、じっくりと仕上げられるメリットがありますよね。
C:たしかにそうですね。
A:日程的にいいのは3日目、4日目ぐらい。初日も出番は早いですが、勝てば6日目まで準備ができます。逆にきついのは一番最後に登場する6日目の第1試合ですよね。中1日で2回戦。さらに連戦で準々決勝です。
A:思った以上に良かったチームはありましたか。
B:滋賀学園は想像以上に良かったですね。打者が振れていました。とにかくみんなの打球が速かった。打撃は大会トップクラスだと思いますが、山口達也監督の評価はまだ厳しいです。昨年選手権ベスト8のチームは野球がしっかりとできるチームでした。今のチームはまだうまくはないですが、ポテンシャル自体は昨年より上回ります。
C:滋賀学園のほかには常葉台菊川、敦賀気比は打撃が良かったですね。
A:この3校は以前から評価が高かったですね。
C:常葉大菊川は主将の橘木 千空内野手(3年)、控えの佐藤 大介外野手(3年)の2人が本塁打を打っていました。橘木はライトポールに当てていました。昨年の甲子園練習ではここまで飛ばす打者は本当に少なかったので、この1年で飛ばせる打者が増えたように感じます。あと元気があって活気あふれる練習をやっていました。対照的に静かに練習していたのがエナジックスポーツでした。
B:敦賀気比だと、ショートの岡部 飛雄馬内野手(3年)の動きがいいです。ただ見た感じ、投手が少し弱い感じがしました。
A:前評判が高くなっている高松商はどうですか?
B:甲子園練習を見た限り、秋の成績の割に打撃はどうかな…という感じでした。プロ注目投手が揃っていることもあって、期待も高いと思いますが、まず大事に戦ってほしいですね。
A:初戦で健大高崎と当たる明徳義塾は馬淵監督、バッテリーが注目されていますが。
C:守備の仕上がりは良かったですね。
A:智弁和歌山は選手の能力はピカイチです。甲子園練習での仕上がりはどうでしたか。
B:打撃練習を見る限り、本当に能力は高いです。ただ遊撃手の山田 希翔主将(3年)は近畿大会で痛めた怪我の影響で手術をしたので、まだ守れません。二遊間が固まっていませんでしたね。奥 雄大外野手(3年)がサードを守ったり、秋、サードだった黒川 梨大郎内野手(2年)がセカンド、大谷 魁亜内野手(3年)がショートでした。
A:そして対戦する千葉黎明は実戦的なチームです。
C:実戦的な守備をしていて、そして捕手がかなりの強肩なのも印象的でした。
A:野手は小粒ですが、スピードがある選手が揃っています。
C:智弁和歌山の練習を見る限り、主将・山田希の怪我で万全ではないこともあり、守備に不安があります。千葉黎明はそこをつくことができるかですね。
B:甲子園練習を見て予想よりも良かったのが日本航空石川です。投打とも仕上がりがよく、結構やれる感じがあります。エース・蜂谷 逞生投手(3年)は好投手として活躍してくれそうです。対戦する東海大札幌は野手の状態を見るとエース左腕・矢吹 太寛投手(3年)次第ですね。
C:沖縄尚学の2年生左腕・末吉 良丞投手の仕上がりが良かったです。150キロ左腕・末吉投手は昨年の神宮大会では調整に失敗して、あまり球速を出すことはできませんでした。寒さ対策ができていなかったようですね。甲子園練習を見る限り、威力ある速球を投げていて、期待できる内容でした。
A:山梨学院と対戦する天理はどうでしたか。
B:天理は良かったですね。主将・永末 峻也外野手(3年)が本塁打を打っていましたね。彼は中距離打者ですけど、調子が上がってきました。注目遊撃手・赤埴 幸輝内野手(3年)の打撃練習を見た時、最初はまだまだでしたが、後半はしっかりと修正して、鋭い打球を飛ばしていました。課題の投手陣がどうにかなるか。
A:相手の山梨学院は期待の大型右腕・菰田 陽生投手(2年)の甲子園デビューが待たれます。
B:吉田洸二監督は「別人のようになった」と菰田の成長を高く評価していました。このオフはフィジカルトレーニングを徹底的にやって、出場が決まってからは2倍速で仕上げてきたようですね。
C:今回、苦しそうなのが花巻東。スラッガー・古城 大翔内野手(2年)が肉離れした影響で、甲子園でも練習ができていません。ノックも捕球するだけで、実戦離れているのが気がかりです。
A:同ブロックの二松学舎大付は良かったですか?
C:そうですね。非常に良い打球を打っていました。甲子園でみていた記者たちからは「ベスト8入りするのでは」との声もあがりました。
B:ほかでは市和歌山は打撃が良かったですね。主軸を中心にいいです。選手宣誓を務める川邉 謙信捕手(3年)が4番を務める可能性があります。秋は守備の負担を考え、6番でしたが、打力はずっと4番クラスだと思っていました。
A:やはり色々収穫がありましたね。
B:はい。前評判の高い学校でもキーマンのコンディションで状況が変わりますし、秋の成績で目立った成績でなくても、想像以上に強打のチームもあれば、今年は全国的に低温が多い冬でしたので、仕上がりが良くないチームもありました。
C:ベスト8予想で評価が高かった花巻東は古城、健大高崎は石垣の故障で評価が落ちたかなと思います。
A:甲子園練習を見た記者だからこそいろいろ知らない情報が得られました!ありがとうございます。18日からのセンバツ甲子園が楽しみです!