3月15日、国立代々木競技場第一体育館で「第100回天皇杯 全日本バスケットボール選手権」決勝が行われ、琉球ゴールデンキング…

 3月15日、国立代々木競技場第一体育館で「第100回天皇杯 全日本バスケットボール選手権」決勝が行われ、琉球ゴールデンキングスが60-49でアルバルク東京に勝利。3年連続で決勝の舞台に立った沖縄のシンボルが、ついに悲願の初優勝を飾った。

 琉球は直近3連敗中で頂上決戦を迎えていたものの、この日はベンチメンバーも含めA東京に圧力をかけ消耗戦へ。最大の武器であるインサイドの攻防で優位に立ち、最後まで愚直に奮闘。千葉ジェッツに49点差をつけられる大敗を喫していた昨年の天皇杯決勝の悪夢を振り払うかのように、泥臭く頂点まで這い上がった。

 沖縄県出身で2013年からキングス一筋の岸本隆一は、24分28秒のプレータイムで6得点5リバウンド2アシスト。スコアこそ伸びなかったが、攻守で流れを手繰り寄せるプレーを披露した。

 一進一退の展開だった第2クォーター終盤、相手のタイムアウト明けに福澤晃平へ最前線からプレッシャーをかけてターンオーバーを誘う好守をみせると、最終盤の第4クォーター残り46秒にダメ押しとなるスクープショット。フランチャイズ・プレーヤーが見せた勝負どころでの大仕事に、コート上の味方選手も含め、アリーナの半分が歓喜で沸いた。

 岸本は第2クォーター終了間際にA東京の反撃ムードを断ち切ったディフェンスについて、「基本的にマッチアップする時間帯はテーブス選手が多かったんですけど、相手がタイムアウト明けに何かしらデザインしてくるだろうと踏んでいました。出てきた選手も今日の試合に関しては多く絡んでいない選手。選手心理も考えて、ここでプレッシャーをかければ少しリズムが崩れるかなという意図もあったので、それが結果的にいい方向にいったかなという感覚です」と、値千金のプレーを振り返った。

 また、第3クォーター中盤には、足をつってベンチに下がるアクシデントがあったものの、「ベンチから見ているときは正直すごく楽しかったです」と率直な思いを吐露。「チームメートみんながポジティブにゴールにアタックしていましたし、それがスコアにもなっていましたし、それが良い連鎖を生んでディフェンスのインテンシティも上がっていって、『自分たちこうやって勝ってきたよな』ということを表現できていた」と、頼もしく映った仲間の姿を思い出した。

 9年前は“エリート軍団vs雑草軍団”という切り口でBリーグ開幕カードのA東京vs琉球を煽られていたが、2022-23シーズンにBリーグ初優勝を成し遂げ、100回の節目を迎えた天皇杯で頂点に。岸本は「もちろんこの場所でアルバルク東京というのは特別なので、縁を感じている」としつつ、「人が変わっても自分たちの信念、理念を持って前進してきた結果が今日につながったのかなと、僕はそういう認識でいます」と、積み重ねてきた歴史を噛みしめるように言葉を紡いだ。

 bjリーグ時代には天皇杯に出られない時代もあった琉球。飛躍的な成長を遂げてきたクラブの成長を歴史に刻む、大きな天皇杯初優勝となった。

【動画】流れを変えた!琉球・岸本隆一のビッグプレー