■仙台の左サイドは新たな武器となるか【3月8日 13時キックオフ 仙台 1ー1 長崎 キューアンドエースタジアムみやぎ…

■仙台の左サイドは新たな武器となるか

【3月8日 13時キックオフ 仙台 1ー1 長崎 キューアンドエースタジアムみやぎ】

 J2リーグの序盤戦が、驚きをもたらしている。

 J2リーグは3月8日、9日に第4節が開催され、J1から降格してきたサガン鳥栖が19位、北海道コンサドーレ札幌が最下位に沈んでいるのだ。どちらも勝利がない。札幌はまさかの4連敗だ。

 波乱含みの序盤戦で、昨シーズンプレーオフ決勝まで勝ち進んだベガルタ仙台は、2勝1敗と悪くないスタートを切っている。今節はリーグ屈指の破壊力を持つV・ファーレン長崎をホームに迎え、1対1で引分けた。

 勝点1を分け合うことになったが、試合内容では仙台が上回っていた。ミドルブロックをしいてゴール前に危険なスペースを作らず、ボール際で激しくバトルする、ハードワークを怠らないという戦いのベースでも上回った。

 攻撃では左サイドで優位性を作り出した。昨シーズン9得点の左MF相良竜之介と新加入のFW荒木駿太が、コンビネーションを深めているのだ。

 FC町田ゼルビアから加入した荒木は、2トップの一角で起用されている。ただ、前所属先では2トップの一角だけでなくサイドハーフでもプレーしてきた。このため、相良とはポジションを臨機応変に入れ替え、荒木が左サイドのタッチライン際へ立ったりしながら、それぞれが縦への推進力を生かしている。

 そのふたりに、同点弾を決めた左SB石尾陸登が絡んでいく。開幕から2試合は奥山政幸が先発したが、前節から石尾がスタメンで起用されている。森山監督が起用の意図を説明する。

「石尾は前の週(のパフォーマンス)が良かったですし、自分で持ち運べる。機動力がある。相良と荒木に石尾が遅れ気味で絡んでいく。奥山が出る場合はちょっと守備的で、石尾が入ったら攻撃的で、今日も左サイドは良かったと思います」

 昨シーズン13ゴールの中島元彦が所属元のセレッソ大阪へ復帰し、新たな得点源と攻撃パターンの構築が求められている。そのなかで、左サイドがはっきりとした優位性を持てれば──課題の得点力アップにつながるだろう。

■交代カード活用で「チームの底上げ」をはかる

 1対1で終わった長崎戦で、森山監督は70分以降に5枚の交代カードを切った。選手交代でシフトアップをしたいはずだったが、攻撃のさらなる活性化にはつながらなかった。

 試合後の森山監督は、「今日はちょっと選手が疲弊したかなという意味合いの交代だったので、戦術的な交代というわけにはいかなかった。前半のメンバーの流れが良かったので、そのままいくのが一番いいというのもありましたけれど」と説明した。

 同時に、選手交代の意義にも触れた。

「リーグ戦を戦いながら途中から出た選手が力をつけて、流れを変えていってくれるようになっていかないと、長いシーズンを戦っていけないと思うので。試合に出していくなかで、自分で課題を感じたり、このままではダメだと危機感を持ってもらったり、また次の日の練習から(課題に)取り組んで、最終的に戦力に、いまのスタートを脅かす存在になってもらわないと」

 交代枠が「5」となっている現在は、途中出場の選手の活躍が勝敗に大きく影響する。 好調なスタートを切った昇格組のRB大宮や富山は、途中出場の選手が勝利につながる得点を決めているのだ。

 チーム全体の底上げは、安定感のある戦いにつながる。「そうしないと、出場停止やケガ人が出た時に、チーム力がガタッと落ちてしまう」と森山監督は続けた。目前の試合で勝利を目ざしながら、チームの地力を高めていく。仙台にとっては、J1昇格のためには必要なプロセスなのだ。

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