■仙台は長崎との上位対決で「ミドルブロック」を選択【3月8日 13時キックオフ 仙台 1ー1 長崎 キューアンドエースタ…

■仙台は長崎との上位対決で「ミドルブロック」を選択

【3月8日 13時キックオフ 仙台 1ー1 長崎 キューアンドエースタジアムみやぎ】

 誰も予想できなかった序盤戦となっている。

 J2リーグは3月8日、9日に第4節が開催され、J3から昇格したRB大宮アルディージャが無傷の4連勝を飾った。11シーズンぶりにJ2を戦うカターレ富山も、3勝1敗で3位につけている。大宮、富山と同じ昇格組のFC今治も、クラブ史上初のJ2で2勝1分1敗と白星先行だ。

 ボトムハーフの最下部には、J1から降格してきた2チームが並ぶ。サガン鳥栖は1分3敗で19位、北海道コンサドーレ札幌は4連敗で最下位なのだ。

 戦国J2の様相が色濃いなかで、今節は上位対決を取り上げる。2勝1敗で5位のベガルタ仙台が、2勝1分で4位のV・ファーレン長崎をホームに迎えた一戦だ。

 長崎は昨シーズン18ゴールのFWマテウス・ジェズスを中心とする攻撃を、最大の強みとする。マテウス・ジェズス、FWエジガル・ジュニオ、MFマルコス・ギリェルメのブラジル人トリオに加え、左ウイングの笠柳翼、右サイドの複数ポジションをカバーする増山朝陽、さらには貴重な交代カードとなるMF松澤海斗ら、特徴を持った選手がスタメンはもちろん控えに並ぶ。3節終了時点のデータでは、総シュート数、枠内シュート総数、チャンスクリエイト数でリーグトップを弾き出している。

 爆発的な攻撃を、いかに封じるか。仙台にとって、勝点3奪取への重要なポイントである。

 森山佳郎監督は「ミドルブロック」をしいてしっかりと構えることを選択した。長崎はGK後藤雅明も加わってビルドアップをしてくるが、深追いはせずに4-4-2の陣形を崩さない。プレスを剥がされて引っ繰り返されるリスクを抑えた。

 果たして、過去3試合でリーグ最多の53本のシュートを記録してきた長崎に、前半2本、後半4本と合計6本のシュートしか許さなかった。24分の失点に加えてCKから決定的なヘディングシュートを1本許したが、ブラジル人トリオが揃った後半も含めて相手攻撃をほぼ封じることができていた。「J2で一番破壊力のある攻撃陣に、チャンスをそれほど与えなかった。守備面ではかなり自信の持てる試合だった」と、森山監督も評価する。

■同点弾の「時間」にチームの成長が読み取れる

 24分に先制された仙台だが、わずか2分後に追いついている。試合後の森山監督は、「失点したあとすぐに返せたのは成長」と話した。

 昨シーズンの全38試合を振り返ると、失点後5分以内に追いついた試合がない。「早々に決められると、それぞれが違うことをやったりしていた」と指揮官は続けたが、ビハインドを引きずることで試合展開が難しくなったところはあっただろう。

 同点へ持ち込んだ流れは、相手守備陣を意図的に攻略できていた。

 長崎は4-3-3のシステムで、アンカーの両脇にスペースがある。同点弾のきっかけも、左MF相良竜之介がそのスペースでボールを引き出したことにある。このアクションが長崎のMFを自陣へ下げ、中盤にスペースが生まれる。左SB石尾陸登がすかさず攻め上がってきた。

 石尾はドリブルで持ち出すと、ボランチ鎌田大夢へボールをあずけてペナルティエリア内へ侵入する。「鎌田からドンピシャのタイミングで、メチャクチャいいボールが来た」と石尾は振り返るが、MFとDFラインの間でリターンパスを受け、相手CBの股間を通したフィニッシュワークは鮮やかだった。大卒2年目の石尾は、嬉しいJリーグ初ゴールとなった。

 わずか2分でビハインドを跳ねのけた仙台は、その後も長崎のゴールに迫った。シュート数は7対6とほぼ互角だが、チャンスの数でははっきりと上回ったのだった。いい守備からいい攻撃ができていたのである。

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