◇アジアン&豪州ツアー共催◇ニュージーランドオープン by Sky Sport 最終日(2日)◇ミルブルックリゾート(…

ツアー初優勝を飾ったライアン・ピークには壮絶な過去があった

◇アジアン&豪州ツアー共催◇ニュージーランドオープン by Sky Sport 最終日(2日)◇ミルブルックリゾート(ニュージーランド)◇6961yd(パー71)

1年前に優勝した幡地隆寛がグリーンサイドでささやいた。「すごく難しいパット。逆目の上りから、順目の下りです」。1打リードで最終18番(パー3)に入ったライアン・ピーク(オーストラリア)のパーパットは2m。外せば比嘉一貴を含む4人プレーオフに入る一打を、巨漢レフティは全身全霊をかけてねじ込んだ。

1993年生まれの31歳のキャリアは異色そのもの。17歳の時、のちに「全英オープン」王者になるキャメロン・スミスらと代表チームに入るなど、将来を嘱望されたジュニアゴルファーだったが、その後の私生活は荒れ放題。政府が犯罪組織とみなした暴走族に入り、21歳で暴行罪による5年の懲役刑を受けた。

刑務所にいた頃から「もう一度、クラブを握れ」と彼を支えたのはコーチのリッチー・スミス氏。出所後、ピークは再びゴルフの道に戻り、身体に「人生は変わる」とタトゥーを刻んだ。「自分にはできる、それは時間の問題だと信じていた」。母国ツアーを主戦場に努力を重ね、この最終日に「66」をマークして4打差を逆転。2日目以降、ボギーを1つもたたかないハートの強さを見せつけた。

表彰式ではニュージーランドの伝統「ハカ」が披露された

大会前の世界ランキングは2526位だった。「週のはじめに勝つと言っていたら、みんな笑っただろう」。犯罪歴があるばかりに、お隣のニュージーランド入国に時間を要し、会場近くの街に到着したのは開幕の2日前だった。「ここに来ただけで、もはや勝ったようなものだった。パスポートに(入国)スタンプが押されただけで重荷がなくなったんだから」

優勝カップを眺めて「人生が変わった。これが、ゴルフこそが僕のやりたかったことだ」とうなずいた。「ことしに入ってから酒は飲んでいないんだ。今夜はたくさん、友人や家族とビデオ通話をしよう思う」。感謝の気持ちを伝えることが、勝利の美酒の代わりになる。(ニュージーランド・アロータウン/桂川洋一)