2025年2月26日、湘南ベルマーレ対浦和レッズの試合がレモンガススタジアム平塚で行われた。試合は、2‐1で湘南が勝利…
2025年2月26日、湘南ベルマーレ対浦和レッズの試合がレモンガススタジアム平塚で行われた。試合は、2‐1で湘南が勝利した。湘南のフォーメーションは「3-5-2」の3バック。浦和は、前節の京都戦と同じフォーメーションで臨んだ。浦和は負傷した渡邊凌磨の代わりにサミュエル・グスタフソンを、さらに左サイドバック(以後SB)に長沼洋一をスタメンで使ってきた。
■ゲームの流れを相手に渡す「ミス」
記事後半は、試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見てプレーの詳細部分を確認してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=Jy0X4Bwg5w8
【11分のシーン】
湘南の右サイドからの攻撃。安居海渡が空振りをして、相手にボールを与える。もしも、安居の利き足が左足ならば、空振りも考えられる。逆の右足で蹴ろうとした結果、空振りしてしまうことはあるからだ。しかし、安居の利き足は右足だ。ならば、ここで空振りをしてしまうのは、あまりにも軽率なプレーだ。それに、無理にクリアする場面でもなく、先に体を入れてマイボールにしているのだから、外に逃げればいい。こうした軽率なプレーは、ゲームの流れを相手に渡すきっかけになるので、気をつけなければいけない。
また、右CBのダニーロ・ボザは、湘南の福田翔生をマークしなければならなかった。右SBの関根は自分の背後に湘南の選手が来ないのを確認して、中に絞ってきている。ここでボザはボールウォッチャーにならずに、後ろに入ってきた福田をマークするべきだ。ボザのポジショニングには問題がある。
【24分のシーン】
湘南の選手がセンターラインでボールを持ったときに、安居がプレスにいく。だが、足をちょっと出すだけで、ボールを奪いに行くのか、進行を妨げたいのかわからない。とにかく、ボランチの選手がこうした軽率なプレーをしていたら話にならない。
一方、湘南の小野瀬康介の動き方は優れている。浦和の2人の選手の間に入っていくことで、2人を引き連れていく。それによって湘南の右サイドにフリースペースが生まれる。湘南が右のポケットからクロスを入れたときに、ペナルティエリア内には湘南の選手が5人も入っている。湘南は中盤でボールを保持した瞬間に、全力で迷いなくボックス内に侵入してくる。
■全員が「ボールウォッチャー」に!
【25分の湘南の得点の場面】
浦和の守備の人数は足りている。ペナルティエリアの中に8人がいる。しかし、体の向きが全員ボールの方向に向いている。つまり、全員ボールウォッチャーになってしまっている。この立ち位置だと、目の前のプレーには対処できるが、自分の背後や味方と味方の間のスペースに入ってこられたら、対処しづらい。
左サイドから浦和の選手の頭を越えて大きく逆サイドのポケットにボールを出されたことで、浦和の選手がボールウォッチャーになってしまっている。
続けて、ボールを折り返されて再びダイレクトで逆サイドのファー側に蹴られたことで、浦和の選手は湘南の選手の動きについていけていない。人数が足りているのに守れていないのだ。これが浦和の現状である。
先にも述べたが、本来ならば、関根がボザにコーチングして動かさなければならない。SBの位置は状況を俯瞰して見ることができる場所なので、コーチングしないと、CBもポジショニングを間違ってしまう。見ていて、コーチングされていないので、関根がマークして対処しなければならず、背後の福田をフリーにしてしまった。ボザを鈴木章斗にマークにつかせ、関根が福田をマークすれば、失点は防げたはずだ。
【61分の浦和の得点の場面】
浦和の得点は、チアゴ・サンタナが中盤に降りてきたことで生まれた、そのスペースを使っての得点である。あの位置までサンタナが降りると、3バックはついて行かない。まず、浦和は右サイドのポケットからマイナスにパスを出す。マイナスに出されたパスはDFにとって対処が難しい。どうしても、攻撃する相手をマークしづらいのだ。従って、湘南からすればマイナスのパスを出される前に、浦和の選手がポケットに入ったときに、もっと厳しく詰めてもいい。ただし、ファールを取られる場合があるので、注意はしないとならない。少なくともダイレクトで出されないようにしたかった。
浦和にとっては、理想的な攻撃パターンだ。いかに、こうしたパターンを作り出せるかに、これからの戦いはある。そのためにも、選手選考の見直しは必要だと思われる。