昨季、初優勝とメジャー「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を含む国内ツアー3勝を挙げるブレークを遂げた桑…
昨季、初優勝とメジャー「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を含む国内ツアー3勝を挙げるブレークを遂げた桑木志帆。年間ポイントランキングも自己ベストの6位と輝かしいプロ4年目を過ごした22歳に、年間女王への期待も高まる2025年シーズンの目標や米国ツアーへの思いを聞いた。(取材・構成/松島流星)
ことしは寂しくなる
今シーズンは、昨季ポイントランク1位の竹田麗央、山下美夢有(同2位)、岩井明愛(同3位)、岩井千怜(同5位)が米ツアーに参戦する。トップクラスの選手が国内から多く抜けることに関して、「けっこう寂しくなるなっていう感じはあります。だからといって変えることも特にないので、今季も自分らしくプレーできたらいいなと思います」と落ち着いた表情で語った。
37試合のうち16勝を占めた4人が抜けることで、ツアーの勢力図はガラリと変わる可能性がある。新女王の有力候補と目される桑木も「(ツアーを)引っ張っていけたらいい」と話す一方、「上位の選手が抜けたとはいえ、さくらさん(小祝さくら)や朱莉(佐久間朱莉)とか実力がある選手もいて、さらに下の世代も入ってくる。昨年はたまたま上位だっただけで、(他の選手は)またこのオフでレベルアップしてくるし、どうなるかわからない」と表情を引き締める。「まずは1勝を目指し、着実に勝利を重ねて、最後の方でそれ(年間女王)が見えてきたら獲りにいきたい」と冷静に現状を見つめた。
ブレークイヤー
2024年シーズンをキャリアハイで終えるきっかけとなったのは23年だったという。「22年まではいい結果が出ずに、目標もぼやけていてモチベーションも全然なかった。でも目標を決めて取り組むことでプレーの安定感が増した」。優勝したい。世界ランキングを上げたい。明確になったターゲットが、桑木の急速な成長を後押しする。23年はトップ10入り10回を記録。優勝争いも複数経験し、ポイントランク10位で初シードを獲得した。「優勝こそできなかったけれど、シーズンを通して戦えたことに自信がついた」と昨季の飛躍につなげる要因となった。
「もう、たまらない」大好物のイーグル
プレーの全体的な底上げを示す変化のひとつが、23年の「7」からほぼ倍増したイーグル数だ。昨季は全体トップの「13」を奪い、コロナ禍で統合された2020-21年の勝みなみに並ぶツアーのシーズン最多をマーク。単年では川岸史果の「12」(23年)を1つ上回り、ツアー新記録を樹立した。
特徴的なのは、パットやグリーン周りからだけではなく「半分くらいはショットイン」で決めるイーグルが多いこと。「すごくショットが良くなってきているのでパー5は果敢に狙っています。イーグルを獲ると観客も沸くので大好物です」と笑顔を見せる。最も記憶に残るのは、24年4月「フジサンケイレディス」最終18番(パー4)での一打。フェアウェイから打ち上げの2打目が手前に切られたカップに吸い込まれ、グリーンで待ち受けるギャラリーの大歓声を浴びた。「ショットインイーグルはもう、たまらないですね(笑)」と話す。
視線を集めたのはプレーだけではない。契約先のラウドマウスから提供を受けるウェアは超ド派手。昨季の最終戦では真っ赤なロブスター柄の白いパンツを着用して話題を呼んだ。「ウェアに関しては目立たないよりかはいいと思っているし、ファンの方からも見つけやすいと言われるので」と華のあるスタイリングにこだわる一方、私服に関しては黒色が最も多くプライベートでは控えめ。「私服と試合着でガラッと変わると、スイッチのオンオフができるので気合が入る」のだという。
憧れの先輩のもとへ
23年に初出場した日米共催「TOTOジャパンクラシック」。海外の名だたる選手らを相手に優勝争いを演じ、惜しくも1打差の2位で終えた。「数ある海外選手に(スコアで)勝てたことが何よりも自信になった。JLPGA(国内ツアー)とLPGA(米国ツアー)では選手の待遇や大会規模が全然違うので、ここでやりたいと思うようになりました」と、海の向こうを目指すきっかけとなった。
今年、その思いは一層強くなっている。「Qシリーズ(予選会)が今年の末にあるので、そこに向けて頑張りたい」と、26年の米ツアー参戦へ意欲を示した。最新の世界ランクは64位。昨年はランク75位まで(10月8日時点)が最終予選会から出場でき、条件を満たした山下と岩井姉妹の3人が突破につなげた。
“言葉の壁”への不安もあるが、同じ岡山出身で22年から米ツアーに主戦場を置く渋野日向子の『英会話なんてできなくてもいい。何しに行くのかを考えれば、少なくとも(メインは)それではないから』というアドバイスにも勇気づけられた。
海外メジャー初挑戦もかなえたい。3月24日付の世界ランク75位以内なら、5月末「全米女子オープン」(ウィスコンシン州エリンヒルズ)の切符を獲得できる。ウェールズのロイヤルポースコールが舞台となる7月末「AIG女子オープン」(全英女子)についても、「昨年は体調不良で出られなかったので今年は出たい」と意気込む。
「今年も世界ランキングを意識しながら戦っていきたい」。持ち前のショット力で今年の台風の目となるか。その先にはタイトル争いと、憧れの先輩が待つ米ツアーへの挑戦が待っている。