今週は、春の国内外のビッグレースへ向けた重要な一戦、第99回中山記念(GII、芝1800m)が中山競馬場で行われる。今年…

今週は、春の国内外のビッグレースへ向けた重要な一戦、第99回中山記念(GII、芝1800m)が中山競馬場で行われる。

今年は、昨年の覇者マテンロウスカイをはじめ、GII2勝のシックスペンス、中山金杯を制したアルナシーム、昨年のダービー卿CT覇者パラレルヴィジョンや、重賞初制覇を狙うエコロヴァルツなど、中距離戦線の強者が集結し、見応えのある一戦となりそうだ。

そんな中、昨年のマイルCSでGI初制覇を果たしたソウルラッシュが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■1ハロン延長、開幕週にどこまで対応できるか

昨年のマイルCSで悲願のGI初制覇を果たしたソウルラッシュ。前走の香港マイルでも世界の強豪を相手に2着と好走し、JRA最優秀マイラーを受賞。文字通り、国内の最強マイラーに上り詰めた。今春は中山記念をステップに、ドバイターフへ参戦予定となるが、1800mへ距離が延びる点は、やはり不安材料と言わざるを得ない。

芝2000mで新馬勝ちし、デビュー当初は中距離を使われていたが、2021年12月以降は一貫してマイル戦を使われており、約3年3カ月ぶりにマイル戦以外への出走となる。ここまで徹底的にマイラー仕様に作られてきた馬だけに、1ハロン距離が延びるだけでも、息の持ち方や戦略面など、大きな変革が求められ、GIウイナーと言えども甘くはない。

また、前年のマイルCSで3着以内に好走した馬の成績は、過去10年で【1.0.1.6】と振るっておらず、このうちマイルCS勝ち馬は3頭いたが、ステルヴィオ(2人気3着)や、ペルシアンナイト(1人気5着)らは人気以上の結果を得られていない。

特に中山開幕週となる今回は、先行馬が断然有利。過去10年の中山記念では、4角5番手以内の馬が【9.6.8.35】と圧倒的な成績。一方、10番手以下の場合【0.0.0.26】で馬券圏内には入れない。なお、前年のマイルCS出走馬で見ても、マイルCSで初角4番手以内につけていた馬に限ると【1.0.1.1】で着外も4着と、先行力がポイント。ソウルラッシュは、近走後方から運ぶケースが多く、香港マイルでも4角では後方2番手。差し脚が板についてきただけに、仮に前めで運んだとしても、持ち味を発揮できない可能性は高いだろう。

また、明けて7歳を迎えており、年齢的にもネック。過去10年の中山記念で、7歳以上の馬は【1.0.3.30】で、好走歴が高いボリュームゾーンは4、5歳馬。キャリアも21戦以上の馬は【0.1.3.43】と、勝ち馬は輩出しておらず、すでにキャリア23戦のソウルラッシュよりも、フレッシュさが求められる一戦だ。

ちなみに、ルーラーシップ産駒は、中山芝コースの中で、距離別では1800mが一番勝率が悪く、重賞も牝馬が2勝しているが、牡馬に限ると【0.0.0.3】と結果は出ていない。距離への不安や中山開幕週への対応など、乗り越えなければいけない壁は多く、ドバイターフを見据えて、という意味でも、ここで全力投球してくるとは考えづらい。これらを踏まえて、人気ほどの信頼感はないと考え、妙味を考慮すると、今回は思い切って「消し」でいってみたい。

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。