■地上戦で決定機を作り出したが【2月23日 14時キックオフ 徳島 1ー0 仙台 鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエ…
■地上戦で決定機を作り出したが
【2月23日 14時キックオフ 徳島 1ー0 仙台 鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム】
2月22日、23日開催のJ2リーグ第2節で、開幕戦白星スタートのベガルタ仙台は23日、徳島ヴォルティスとアウェイで対戦した。後半開始直後の52分に先制された仙台は、同点、逆転へ持ち込めるか。
開幕節の仙台は、1トップの宮崎鴻へのロングボールを攻め筋とした。フィジカルに優れる宮崎がボールを収めることで、相手守備陣を後退させ、チーム全体が押し上げることができていた。
しかし、徳島の3CBはいずれも長身だ。宮崎との空中戦の競り合いには、190センチのカイケがポジションをずらして挑んでくることもある。このため、この日の仙台は空中戦ではなく地上戦に活路を見出そうとした。この試合の3つ目のポイントである。
果たして、後半は4度の決定機をつかんだ。2トップの荒木駿太がトップ下から中盤まで幅広く動き、ドリブル突破が得意の左MF相良竜之介がパスの受け手となってフィニッシュへ持ち込む。郷家友太も右MFからゴール前中央へポジションを移す。右SB真瀬拓海は、右サイドで高い位置を取る。一人ひとりがスタートポジションにこだわらずに立ち位置を変え、ワンタッチでパスをつなげる距離感を取ることで、仙台は徳島のゴールへ鋭く迫った。地上戦で相手守備陣を崩し切った。
しかし、ゴールが遠い。4度の決定機のうち3度は、シュートを枠へ持っていくことができていない。狭いサイドを意図的に狙った一撃があり、シュートコースを消されたためにスミを狙わざるを得ないところもあっただろう。そのうえで言えば、枠内シュートを増やすことは攻撃の連続性につながり、得点の可能性を高めるのだ。決め切るのはもちろん必要だが、それ以前に「枠」へ持っていかなければならない。
■インパクトプレーヤーの登場が求められる
増田功作監督が昨年4月から指揮を執る徳島は、昨シーズン終盤に4連勝を含む5戦負けなしを記録して8位でフィニッシュした。今シーズンはMF岩尾憲、MF永木亮太、新外国人FWトニー・アンデルソンらが戦線離脱しているなかで、開幕2連勝を飾っている。昨シーズン終盤の好調を持ち込んでいる印象で、1トップの渡大生と2シャドーの杉本太郎&ジョアン・ビクトルがコンビネーションを発揮している。このトライアングルが、攻撃の出力を大きくしているのだ。新外国人のジョアン・ビクトルは2試合連続ゴールである。
彼らに代わる交代カードも、質が高い。MF杉森考起、FWルーカス・バルセロスが2試合連続で後半途中からピッチに立ち、インパクトプレーヤーとして相手守備陣を翻弄している。ルーカス・バルセロスはスピードとパワーを兼ね備えており、「個」で局面を打開できる。交代カードとして力強い。
今節、北海道コンサドーレ札幌を3対0で退けたロアッソ熊本は、2対0で迎えた最終盤に途中出場の選手がダメ押し弾を決めた。レノファ山口FCと2対2で引分けたV・ファーレン長崎では、90+3分に途中出場の増山朝陽が同点弾を蹴り込んでいる。勝点をつかむチームは、交代カードとなる選手が結果を残すものだ。
ひるがえって仙台である。この日はMF武田英寿が後半途中から投入され、攻撃に変化を加えた。後半開始から出場した荒木も、終盤に決定的なヘッドを放っている。
ただ、上位に食い込んでいくためには、途中出場からより強いインパクトを記す選手が求められる。まだ2試合を消化しただけであり、何かを言い切るのは早いが、徳島と仙台では交代カードの力強さに違いがある。
CBマテウス・モラエスらを投入する逃げ切りのパターンは、すでに確立されている、それだけに、仙台は攻撃のギアを上げるカードを持ちたいのだ。