サッカーU-20日本代表が現在、U20アジアカップを戦っている。2月20日にはグループステージ最終節を戦い、韓国代表と…

 サッカーU-20日本代表が現在、U20アジアカップを戦っている。2月20日にはグループステージ最終節を戦い、韓国代表とドロー。準々決勝進出を決めた。蹴球放浪家・後藤健生は現在、取材のために現地入りしている。会場の深センは、45年前にも訪れた思い出の地だ。

■中国「4番目」の大都市・深センへ

 U20アジアカップを観戦に、中国の深センに来ています。深センといってもご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、南部広東省の南の端、というより香港のすぐ北側にある街で、人口は、な、な、なんと1800万人ほど。中国で4番目の大都市です。ちなみに、人口1800万人というのはオランダとほぼ同じです。

 日本から深センへは直行便もあることはあるんですが、便数がそれほど多くなくてちょっと不便で、また少々お高めです。

 そこで、僕は香港に飛んで香港から深センに移動することにしました。香港へは1日に何便も直行便が飛んでいますし、LCCの香港エクスプレスは往復3万円ほどと超格安です。

 さて、香港国際空港から深センにどうやって移動するか……。

 空港から深センに直行するフェリーや直行のミニバスなどもありますが、これらはいささかお値段が張るので、バスと地下鉄を乗り継いで行くことにしました。

 空港から上水(ションシュイ)という所までバスで移動し、そこから地下鉄に乗り換えて落馬洲(ロクマチョウ)駅まで行きます。

 落馬洲駅に着いてプラットフォームからエスカレーターを降りて、そのまま歩いていくと香港側の出境審査(パスポート・コントロール)があります。そして、さらに歩いていくと空中回廊のような幅の広い通路に出ます。

■香港から空中回廊を渡って「入境」

 香港は中華人民共和国の「特別行政区」です。

 19世紀以来英国植民地だった香港は1997年に中国に返還されましたが、本土とは異なった法律や政治制度を維持しており、返還後50年間は“高度な自治”が約束されているのです(しかし、中国の習近平政権は約束を無視するかのように、香港に対する政治的な締め付けを強め続けています)。

 その香港特別行政区と中国広東省の間には深セン河という小さな川が流れています。香港側から深センに行く空中回廊は、その深セン河の上をまたいでいるのです。

 そして、この空中回廊を渡り切ったところに中国側への入境審査場があります(中国では「入国」、「出国」ではなく、「入境」、「出境」と言います)。

 そして、その審査場でパスポートに入境スタンプを捺してもらって、そのまま階段(エスカレーター)を降りると、深センの中の「福田」(フーティエン)という街に出るわけです。建物の中に地下鉄駅もありますから、すぐに深セン市内のどこにでも行けるというわけです。

 境界越えは簡単ですから(とくにビザ免除が再開されてからは)、香港に用事がある人でも、香港のホテルは高いので深センに泊まって毎日境界を越えて香港と行き来することがあるそうです。

 こうした国境施設を中国語で「口岸」と言います。英語では「Port」と書いてあります。「Port」は「港」ですが、海とは関係ありません。この香港側、中国側全体の施設が「落馬洲口岸」というわけです。

■なぜ「落馬洲口岸」を選んだのか?

 香港と中国の間の「口岸」はいくつもあります。最もメインで、また最も古くからあるのは落馬洲の東にある「羅湖(ローウー)口岸」です。

 昔々、中国が完全に鎖国状態だったころ(1960年代まで)、西側諸国から中国に行く直行便はありませんでした。そこで、日本から中国に入るためには香港に飛んで「羅湖」で国境(この頃は香港は英国領でしたから「国境」です)を越えて中国に入国したのです。

 日本の政府や経済界の代表団が訪中するときも、1957年にサッカーの日本代表が中国に遠征したときも、やはり「羅湖口岸」から中国に入ったのです。僕もこれまで何度か「羅湖口岸」を通過したことがあります。

 では、今回、僕は数ある口岸の中からなぜ「落馬洲口岸」を選んだのでしょうか?

 口岸までの交通費が安かったという理由もあるのですが、実は僕にとってここは懐かしい場所だったからです。(2)に続く。

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