◇TGL presented by SoFi◇第8戦(17日)◇ザ・ベイGC×ボストン・コモンゴルフ◇SoFiセンター…
◇TGL presented by SoFi◇第8戦(17日)◇ザ・ベイGC×ボストン・コモンゴルフ◇SoFiセンター(フロリダ州)
松山英樹が17日にインドアゴルフの新リーグ「TGL」でデビューした。ボストン・コモンゴルフの一員として、ロリー・マキロイ(北アイルランド)、キーガン・ブラッドリーとプレー。ザ・ベイGCに敗れた自身の初戦の後、バーチャルとリアルが融合した新感覚の屋内型ゴルフについての印象を語り尽くした。
<後編>ハードスケジュールが生む「強すぎる」刺激 松山英樹がTGLを語る
「小さくて、大きい」SoFiセンター
「頭で“野球場”をイメージして、中に入った瞬間、『あ、小さい』と思ったんです。でも実際に打席に立ったら、スクリーンやグリーンまで意外と距離があるし、大きいなと」。松山が会場入りしたのは、試合が行われた17日の早朝。カリフォルニア州で行われた「ザ・ジェネシス招待」最終ラウンドの後、深夜便でフロリダに飛び、SoFiセンターに初めて足を踏み入れた。
縦幅14m×横幅19.5mのスクリーンに映し出されるバーチャルコースに向かってロングショットを放ち、50yd以内のアプローチ、バンカーショット、パッティングは可変式の人工グリーンの周りからプレーする新時代のゴルフ。それぞれのエリアからボールを打つ感触は、普段とは違ったのだろうか?
スクリーンへロングショット 左へのミスは要注意
松山にとっても最近はシミュレーション施設での練習が珍しくはない。「普段のインドアゴルフだと、球を打った瞬間にスクリーンに当たる感覚ですよね。『パン!(ショットの音)ドン!(スクリーンの音)』みたいな。でもTGLでは40ydくらい先のスクリーンに当たるまでに時間がある。『パン!……ドン!』って。音の感覚が面白いなあと」。ちなみに出場選手の高い弾道では、縦14mの壁を飛び越えてしまうことも。「PW、9Iだと越えちゃう」。その場合も、アリーナに設置された高精度の弾道測定器が打球の行方をはじき出している。
画面を操作してショットの狙いを定める様子はまるでテレビゲームのよう。手に残った感触と飛距離等の数値については「結構、正確だった」と、現実世界との違いはわずかだった。一方で「方向を合わせるのが少し難しい。『ピンに真っすぐ行った』感じのショットが少し左に行ったり、『ちょっと右だ』と思ったのが意外とピンに真っすぐ行ったり」。狙いより少し左に曲がる傾向は、今回が出場3試合目だったマキロイとブラッドリーからも「左に曲がる球は、思った以上に左に飛ぶから気を付けて」と助言されていたという。
スクリーンへのショットは、地面に埋め込まれた生の芝のティイングエリア、フェアウェイ、ラフ、砂が敷き詰められたフェアウェイバンカーの一画から打つ。ひざの高さからドロップする必要があるラフは「5㎝くらいで短いけれど、ボールが半分以上、沈むこともあって難しい」。ちなみにフェアウェイバンカーは「事前に練習しなかった。『入らんだろう』と思って(笑)」。強気の予想の通り、デビュー戦では確かにバンカーから打つ機会はなかった。
傾斜だらけのグリーンと“マスターズ”バンカー
TGLの革新的な試みは、バスケットコート4面分の広さに設けられた人工のショートゲームエリアにある。バーチャルの世界に描かれたコースを再現し、各ホールでカップの位置が変更されるのはもちろん、地面が360度、回転してアングルも違ったものになる。
人工グリーンでは「普通のゴルフ場のような芝目はない」と感じたが、「細かい傾斜がたくさんある。(視聴)画面では見えないと思うんですけど、結構うねうねしていて、打ってから『こんな傾斜があったのか』というラインも多かった。大きく盛り上がっているコブの中にも、凹んでいるところがあった」。足元の感触は「少し沈む感覚で、軟らかい」のに「スピードは速い」。多くのゴルファーが「難しい」と感じるグリーン上のギャップのひとつだ。
一方、ウェッジ技術を披露するアプローチ(チッピング)エリアには芝目があり、これがなかなか厄介だという。「グリーン周りに一枚の大きなシートが敷かれているようで、場所によって順目にも逆目にもなる。人工芝が立っている感じで、キーガンが序盤でミスしたシーンはまさに逆目で難しかった」。グリーンを目がけて打ってみると、「低い球での転がしがサッと前に行くのは屋外のコースと同じ。ロブショットのように浮かせると、スピンがちゃんと入ったか、入らなかったかで全く違う結果になる。高い球で傾斜に落とすと、グリーンの吸収力が高いのか、ボールが一瞬、手前に戻される感じがあった」と屋外との違いも感じた。
真っ白なバンカーの砂は、もっぱら「マスターズ」が行われるオーガスタナショナルGCの砂(ノースカロライナ産SP55という種)と同じだという噂だ。松山も「すごく似ていた」とうなずき、「だから難しい。本当に打ちにくい」とうなった。「オーガスタは年によって砂の量が変わったりするけれど、(総じて)細かく、粉っぽい。球を飛ばしにくく、低く出る可能性も高い。ウェッジの入れ方のミスを許してくれない。飛び方がバラバラになるんです」
「あっという間」の2時間ラウンド
TGLは1打あたり40秒の時間制限(ショットクロック)を設けており、超過すると1罰打が付く。「早い判断が求められるので意外とタフ。ただ、10秒を切ることもなかったと思う。キーガンからは『結構、展開が早いから気を付けよう』と言われていました。スクリーンに残り時間が出ているので、アドレスしてからも『あと何秒ある』と見られて良かった」
最終ホールで決着した計15ホールのマッチは2時間かからずに終了した。「意外とあっという間に時間が過ぎた」というのが率直な感想だ。18ホールを回るのに5時間かかるケースもある普段のツアー競技を考えれば、負担は半分以下のようで、「時間が濃い」と思った。「濃いから、思ったよりも疲れました。大きなミスができない緊張感があった。想像していたよりも、みんなガチ(本気)で。負けて、自分もめちゃくちゃ悔しかった」。非日常のスタイルであっても、超一流同士のぶつかり合いが生む熱量は変わらない。(編集部・桂川洋一)