■エロンの頑張りから先制点が生まれた【2月15日 14時3分キックオフ 鳥栖 0ー1 ベガルタ仙台 駅前不動産スタジア…
■エロンの頑張りから先制点が生まれた
【2月15日 14時3分キックオフ 鳥栖 0ー1 ベガルタ仙台 駅前不動産スタジアムサガン】
J2リーグ開幕節が2月15、16日に開催され、15日、ベガルタ仙台はアウェイでサガン鳥栖と対戦した。昨シーズン6位でプレーオフ決勝進出の仙台は、就任2年目の森山佳郎監督のもとでJ1昇格を明確なターゲットとする、一方の鳥栖も、1年でのJ1復帰を目ざす。
仙台が1ー0で勝利したこの試合、開幕戦ならではの両チームの慎重な入り、同じ4-4-2のフォーメーションでの仙台FW宮崎鴻の存在感に加えて、3つめのポイントは、言うまでなく先制点である。
先行することできれば、開幕戦独特のメンタルから多少なりとも解放される。同時に、相手を心理的に追い詰めることができる。アウェイで先制すれば、それも後半にリードすれば、相手は出てこざるを得ない。カウンターから2点目を奪う、とのシナリオを描くことができる。
71分、試合が動く。仙台が動かした。
右サイドをフリーで駆け上がった右SB真瀬拓海のクロスを、MF郷家友太がヘディングシュートで突き刺した。4-4-2の右サイドハーフが基本ポジションの郷家だが、この場面では真瀬へパスが出る前にセンターサークル付近でボールに絡み、そのままゴール前へ走り込んでFWエロンの背後でフリーになっていた。ボックス内でフィニッシャーになることができ、空中戦に強い郷家がフリーになっていた時点で「勝負あり」という場面だった。真瀬のクロスも文句なしだった。
この場面をもう少し巻き戻すと、GK林彰洋を加えてDFラインでボールを動かしていたものの、プレッシャーを受けたことで左CB菅田真啓が前線へ蹴り出していることに気づく。そのボールを、荒木に代わって63分に出場したエロンが相手選手と競り、こぼれたボールを郷家が宮崎へつなぎ、真瀬へボールが供給された。
エロンも宮崎と同タイプで、ロングボールの競り合いに優れる。この試合で起こり得るシチュエーションと選手起用がマッチした結果、郷家の先制ゴールが生まれたと言うことができる。
■最後は5バックで逃げ切り
最後のポイントは、先制後の試合運びである。残り20分強を、仙台がどのように戦うか。だ。逃げ切りをはかるには、残り時間がまだ少し長い。交代カードの切りかたもポイントになる。
1点リードで迎えた80分、森山監督は2枚替えをする。宮崎からFW梅木翼、左サイドハーフ相良竜之介からMFオナイウ情滋へのスイッチだ。右サイドで起用されることが多いオナイウは、そのまま左サイドに入る。梅木とエランで最前線の強さを維持しつつ、スピードのあるオナイウが相手守備陣の背後を突いていくプランだっただろう。
鳥栖は86分に最後の交代カードを使い切る。最前線にフィジカル自慢のFW酒井宣福、190センチのブラジル人FWジョーを並べてきた。
森山監督も88分に動く。ボランチ鎌田大夢と郷家を下げ、DF石尾陸登、DFマテウス・モラエスを送り出す。システムは5バックに変更した。昨シーズンから採用している逃げ切り策のひとつである。5バックの前にはボランチの工藤蒼生と、左SBからポジションをあげた奥山政幸が並ぶ。
アディショナルタイムは自陣にクギ付けとされたが、両サイドからのクロスを何度も跳ね返す。追加された5分間をしのぎ切った。
試合後のフラッシュインタビューで森山監督は、「昨年から引き続き失点しないところは、鳥栖相手にしなかったのは、評価できるポイントだと思います」と話した。総失点がリーグ8位タイの「44」だった昨シーズンは、アディショナルタイムの失点を「3」に抑えている。最終盤に「守り切る」ことには、相応の自信を持っている。
開幕節では昨シーズン4位のモンテディオ山形が、J2復帰のRB大宮アルディージャに敵地で1対2と敗れた。北海道コンサドーレ札幌も、アウェイで昨シーズン16位の大分トリニータに0対2で屈した。
一方で、J2から降格のジュビロ磐田は水戸ホーリーホックを、昨シーズン3位のV・ファーレン長崎はロアッソ熊本を、いずれも3対2で下している。また、大宮と同じくJ3から昇格したカターレ富山は、愛媛FCとのアウェイゲームを1対0で制している。
シーズン序盤は情報が少ないために、相手の出方が読みにくい。それも含めて、予想しにくい試合が多くなりそうだ。