◇米国男子◇ザ・ジェネシス招待 最終日(16日)◇トリーパインズGC サウスコース(カリフォルニア州)◇7765yd(…

バーディフィニッシュで接戦を制したルドビグ・オーベリ

◇米国男子◇ザ・ジェネシス招待 最終日(16日)◇トリーパインズGC サウスコース(カリフォルニア州)◇7765yd(パー72)

2008年「全米オープン」の日曜日、タイガー・ウッズは18番(パー5)でバーディパットを沈めて翌日のプレーオフに持ち込んだ。雄叫びを天にとどろかせたガッツポーズはゴルフ史に残るシーン。ウィニングパットを控えたルドビグ・オーベリ(スウェーデン)の頭にも一瞬、名場面がよぎった。「彼のパットはもっと長かったけど…!似たようなラインだ」

当時と同じトリーパインズGCサウスコースのラストホール。3週前にプレーした「ファーマーズインシュランスオープン」の最終日恒例のピンポジションとは違う、“全米オープン仕様”のグリーン右手前に切られたカップ。先にホールアウトしていたマーベリック・マクネリに勝ち越す2mのフックラインを沈め、バーディ締めで大歓声を浴びた。

「本当に長く感じた」1年3カ月に終止符を打った

鳴り物入りでプロ転向した2023年に9月のDPワールドツアー(欧州ツアー)で初勝利。PGAツアーでも同年11月「ザ・RSMクラシック」でタイトルを獲得した。今大会直前の世界ランキングは6位(今大会で4位に浮上)と早々にトップ選手の一員になったが、昨季はゼロ勝。「本当に長く感じた。一生分、勝てなかった感覚だ」と白星を渇望していた。

「PGAツアーで勝つことは大変。世界のベストプレーヤーが集まっている。だからこそ、最後の数ホールで勝つチャンスがあると最高の気分になれる」。2週前の「AT&Tペブルビーチプロアマ」は体調不良で途中棄権。「金曜日に自宅に戻り、火曜日まで寝込んでいた」というコンディションを25歳はたちまち回復させ、ウッズのホスト大会出場にこぎつけた。

大会2日目の14日は、ガールフレンドとバレンタインデーもしっかり過ごして優勝争いへ。3位から出たこの日は後半12番で2mのスライスラインを読み切り、パーを拾った直後に3連続バーディを記録して「66」。バックナインの鮮やかな逆転劇で、通算12アンダーでゴールテープを切った。

憧れのウッズと夢のような“再開”

オーベリがウッズと初めて言葉を交わしたのは今年1月、インドアゴルフの新リーグ「TGL」の場だったという。西日で輝くトロフィを手に表彰式でウッズと再会し、08年の全米オープンについておしゃべり。「ここがツアーで一番のお気に入りかと聞いたんだ。そうやって彼と話していること自体が夢みたい」。445日ぶりに手にしたタイトルにはかけがえのないギフトが付いてきた。(カリフォルニア州サンディエゴ/桂川洋一)