井上との対戦が濃厚となっているピカソ。(C)Lemino/SECOND CAREER、(C)Getty Images 怪物のラスベガス決戦に向けた準備は水面下で着実に進んでいる。ボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者である井上尚弥(大…

 

井上との対戦が濃厚となっているピカソ。(C)Lemino/SECOND CAREER、(C)Getty Images

 

 怪物のラスベガス決戦に向けた準備は水面下で着実に進んでいる。ボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者である井上尚弥(大橋)とWBC世界同級1位のアラン・ピカソ(メキシコ)のタイトルマッチが5月3日に米ラスベガスで開催されることが濃厚になった。

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 名誉ある日を彩る一戦となりそうだ。米ボクシング専門サイト『Boxing Scene』は、現地時間2月12日に関係者による「匿名情報」として、ピカソとの井上の防衛戦を米国内でビッグマッチが開催されるメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」に行う計画が進んでいると伝えた。

 すでに井上陣営が名を挙げている“IQファイター”ピカソとの対戦が実現すれば、話題沸騰なるのは必至だ。そもそもメキシコ系米国人が記念日として重要視する「シンコ・デ・マヨ」は、ボクシング界でも価値ある日となっている。過去にフロイド・メイウェザーJr.(米国)やサウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)など名だたる世界王者たちが激闘を繰り広げてきただけに、32戦無敗の新鋭とのメガマッチが準備されているという事実だけでも、井上の世界的な評価の高さが伺える。

 無論、挑戦者にとっては重圧のかかる一戦となる。メキシコ国立自治大の現役医学部生ながら32戦無敗の実績を誇るピカソだが、「史上最強」とも言われる井上はかつてないほどの強敵。現時点での井上有利の下馬評を考えても24歳のメキシカンが受けるプレッシャーは想像に難くない。

 無論、本人は待ち望んだスーパーファイトの可能性に闘志を漲らせている。去る1月18日にピカソは元世界4階級制覇王者であるエリック・モラレス氏(メキシコ)のYouTubeチャンネル『Un Round Mas』に出演。母国の先達から「イノウエに頭を吹き飛ばされるのは恐くないのか?」と問われ、「恐怖か。そうだね、でも、毎日いろんな人が、早くて朝3時ぐらいから仕事に向かう。彼らだって自分が無事に帰れるかはわからない。ただ前に進む。僕も同じだ」と強調した。

 それでも井上の図抜けた強さを熟知するレジェンドからは劣勢を予想するような質問が続いた。

 井上を「世界最高」と絶賛するモラレス氏は、「君はまだ24歳の若いファイターだ。一方で“モンスター”は完成されている。世界トップクラスの選手たちを全員倒してきた。だからもう少し経験を積んだ方がいいとは思う。厳しい試練になると思うけど、試合をどうイメージしている?」と質問。

 避けたくなるようなレジェンドからの厳しい問いかけだが、ピカソは冷静に答えている。

「ボクシングは挑戦の連続でしょ? だから自分がボクシング界にふさわしいのかどうなのかを確かめたいんだ。もちろん簡単じゃない。実はAIにも勝敗を聞いたんだけど、結果は75対25で彼(井上)の勝ち。僕は負けているんだ。でも、ゼロじゃないんだ(笑)」

 世界中のボクシング関係者たちが見守る井上戦に意気込みを強くしているピカソ。彼がリング上でいかなる策を講じるかは実に興味深いところだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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