サッカーを求めて世界各地を放浪する蹴球放浪家・後藤健生。時には、現地で遭遇したサッカー以外のものに興味を惹かれることも…

 サッカーを求めて世界各地を放浪する蹴球放浪家・後藤健生。時には、現地で遭遇したサッカー以外のものに興味を惹かれることもある。なでしこジャパンが手痛い敗戦を喫した相手に立ち向かった、あの日のように…。

■善光寺の「御開帳」のときに…

 先日、長野市のJR長野駅前で3人の男女が刃物で刺されて、男性1人が亡くなるという痛ましい事件がありました。逮捕された男は、捜査に対してまだ口を開いていないようですが、無差別殺傷事件だったようです。そういえば、亡くなった49歳の男性はサッカー愛好家だったようですね。ご冥福をお祈りします。

 現場は、長野駅の善光寺口だったとか……。

「そういえば、2015年の善光寺の御開帳のときに行ったなぁ」と、僕は呑気に当時のことを思い出しました。容疑者が逮捕される前に、ニュース番組では逃走経路が報じられていましたが(容疑者の自宅とは逆方向だったとか)、その映像を見て、昔、その線路脇の裏道を歩いたことも思い出しました。「裏道に美味いものがあるか」と思って、ウロウロしていたのです。

 なんで、わざわざ御開帳を見に行ったのかって?

 いや、僕は不信心な人間ですから、御開帳を見にわざわざ長野まで行ったりするわけはありません。当然、サッカーの試合があったのです。

■34年ぶりの「イタリア戦」

 2015年の5月28日に、長野市の南長野運動公園総合球技場で日本女子代表(なでしこジャパン)対イタリア女子代表の親善試合(キリンチャレンジカップ)が行われたのです。

 日本サッカー協会が公認している女子代表の公式国際試合(Aマッチ)の最初の試合は、1981年6月に香港で行われた第4回アジア女子選手権の初戦、台湾(チャイニーズタイペイ)戦でした。当時の強豪、清水第八の本田美登里さんや木岡二葉さん、半田悦子さんなどがいたチームですが、初戦は台湾、タイ、インドネシア相手に1勝1分1敗の成績でした。

 そして、国内初の女子のAマッチは同年9月に神戸で行われたイングランド戦(0対4の敗戦)。東京での初めてのAマッチは9月9日のイタリア戦で、なんと0対9という大敗を喫してしまいました。

 誕生したばかりの日本の女子サッカーは、そんな状態だったのです。その後、急速に力をつけて、30年後の2011年にワールドカップを制することになろうとは、当時は誰も想像すらしていませんでした。

 僕は、その東京での初めての国際試合となった西が丘(現、味の素フィールド西が丘)でのイタリア戦を観戦していました。

 ですから、34年ぶりのイタリア戦に興味が沸いたのです。

■球技専用スタジアムの「先駆け」

 それに、この年の3月に完成したばかりの新スタジアム(愛称「長野Uスタジアム」)も見たかったのです。

 2016年に大阪吹田市に吹田サッカースタジアム(パナソニックスタジアム吹田)が完成し、その後、日本各地にサッカー(球技)専用スタジアムが完成して、日本のフットボール文化が新たな段階に入りましたが、長野Uスタジアムはそうした動きの先駆けとなった専用スタジアムの一つです。

 そこで、僕は高速バスに乗って長野市まで行くことにしました。(2)に続く。

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