■今季の札幌は「ハイブリッド型」 J1昇格を狙うJ2リーグの有力チームのひとつ、北海道コンサドーレ札幌。 J1昇格を勝…

■今季の札幌は「ハイブリッド型」

 J1昇格を狙うJ2リーグの有力チームのひとつ、北海道コンサドーレ札幌

 J1昇格を勝ち取るチームは、三つに分類できる。確固たる得点源が攻撃を牽引する、複数の得点源を持つ、そのふたつのハイブリッド、である。

 21年のジュビロ磐田と京都サンガFC、22年の横浜FCは、ひとつ目のチームに分類できる。磐田は22ゴールのルキアン、京都は21得点のピーター・ウタカ、横浜は26発で得点王となった小川航基が、チームの得点源となって勝点を呼び込んだ。

 それに対して、22年のアルビレックス新潟、23年の磐田、24年の横浜FCはふたつ目のチームに分類される。2ケタ得点を記録した選手はいないものの、複数の選手が勝点を運ぶ得点を決め、チーム全体でも多くのゴールを記録した。

 ハイブリッド型は23年の町田、24年の清水だ。

 町田はFWエリキが得点源としてチームを引っ張っていったが、31節を最後に戦線離脱した。エリキ不在の残り12試合ではFWミッチェル・デュークが5点、FW藤尾翔太が4点を記録し、セントラルMFの下田北斗が4点、下田とコンビを組むMF宇野禅斗も3点と、チーム全体で攻撃力を維持した。12人の選手が2得点以上をあげている。

 24年の清水は、FW北川航也が12ゴールを叩き出して得点源となった。同時に、右MFルーカス・ブラガが8点、MF矢島慎也が6点、MFカルリーニョス・ジュニオとMF乾貴士が5得点をあげた。15人の選手が2得点以上を記録した。

 今シーズンの札幌は、ふたつめの「複数の得点源を持つ」チームになるだろうか。

 メンバーリストを見ると、スペイン人FWジョルディ・サンチェス、シエラレオネ代表FWアマドゥ・バカヨコ、ガーナ人FWキングロード・サフォ、韓国代表歴を持つFWキム・ゴンヒと、外国籍のFWがズラリと並ぶ。さらに、昨シーズン夏にJ3のFC琉球から加入したFW白井陽斗、期限付き移籍から復帰したFW中島大嘉、プロ2年目となるFW出間思努もいる。タイ代表MFスパチョークも、前線の組合せに絡んでくる。

 明確な得点源の出現は、もちろん待ち望まれる。ただ、これだけの枚数が揃っているのだ。その時々で調子の良い選手を使っていくこともできる。いずれにせよ、岩政監督の提示するプレーモデルがチームの決定力、得点力として、数字に表われていくことがポイントとなる。

■保有戦力が機能すればプレーオフ圏内は確実

補強充実度:C

 ボランチ高嶺朋樹の獲得により、「Bに近いC」との印象か。

 新加入選手は高嶺を含めて5人。DF岡田大和とDF西野奨太が期限付き移籍から復帰した。レフティーの岡田は左CBと左ワイドのポジションを、西野はCBのポジションで競争に加わっていくことになるだろう。CBでは岡村大八、左サイドでは菅大輝が抜けただけに、彼らふたりの成長は今シーズンのチームを左右すると言っていい。

 FW中島大嘉も、J2クラブへの期限付き移籍から復帰した。外国人選手を中心とする前線の定位置争いに、食い込んでいくことが期待される。

昇格可能性:B

 CB岡村大八、MF駒井善成、MF浅野雄也、FW菅大輝、FW鈴木武蔵らがチームを離れたものの、DFパク・ミンギュ、DF大崎玲央、DF中村桐耶、DF馬場晴也、MF宮澤裕樹、MF深井一希、MF青木亮太、MF荒野拓馬、MFスパチョークらが引き続き在籍している。MF高嶺も復帰した。

 宮澤、深井、荒野は、チームが最後にJ2を戦った16年を知る。MF長谷川竜也は、22年に横浜FCでJ1昇格を経験している。40歳の守護神・菅野孝憲も、かつて柏レイソルでJ1昇格を果たしている。選手個々が持つそうした経験も、1年でのJ1復帰を目ざすチームの支えとなっていくはずだ。

 J1から降格してきたチームは、他チームのターゲットになる。どのチームも特別なモチベーションで臨んでくるだけでなく、前節までと戦いかたを変えるチームもある。今シーズンの札幌(とジュビロ磐田は)、他チームにはない難しさを感じることになるだろう。そのなかでも、一人ひとりが額面どおりに機能すれば、少なくともプレーオフ圏内には食い込んでくるはずだ。

 昨シーズンと同じ3バックの前提で考えると、ポイントになるのは左ウイングバックだ。菅が抜けた穴を誰が埋めるのか、である。パク・ミンギュ、長谷川、原康介らが候補にあがるなかで、岩政監督のチョイスが注目される。

 昨シーズンはケガ人が多く、J2降格の一因となった。このため、新任のスタッフとしてパフォーマンスコーディネーターが加わった。負傷による離脱者を抑えることも、J1昇格の必要条件にあげられる。

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