■両SBの選手層が充実 J2リーグの有力チームを展望するシリーズの第2回はベガルタ仙台。 仙台の守備ブロックの陣容はど…
■両SBの選手層が充実
J2リーグの有力チームを展望するシリーズの第2回はベガルタ仙台。
仙台の守備ブロックの陣容はどうだろう。
GK小畑裕馬がJ1のアビスパ福岡へ完全移籍した。育成組織出身の23歳の流出は、中長期的なチーム編成を考えるともったいない印象がある。ユース出身のGK堀田大暉がファジアーノ岡山から加わり、今シーズンを戦うにあたっての陣容に不足はないが。
DFラインでは昨シーズン35試合出場のCB小出悠太が、ヴァンフォーレ甲府へ移籍した。代わってCB菅田真啓のパートナーを務めるのは、名古屋グランパスから獲得したCB井上詩音が有力だ。184センチのサイズがあり、空中戦に自信を持つ。経験豊富なCB實藤友紀、昨シーズンはクローザー起用が多かったCBマテウス・モラエスもおり、選択肢は多い。
水戸ホーリーホックから左SB石井隼太もスカッド入りした。運動量豊富に攻撃に関わり、縦パスを刺し込んだりクロスを供給したりできる。昨シーズンは開幕から石尾陸登が務め、彼の負傷離脱後は奥山政幸が務めた左SBは、奥山が完全移籍へ移行したことも含めて人材豊富となった。
右SBは真瀬拓海と高田椋汰が争う。高田は昨年8月の負傷から長期離脱し、復活を期すシーズンとなる。奥山も右サイドに適応するので、こちらも複数の選択肢を持つことができている。
■中位から確実に勝点を稼ぐために
補強充実度:B
中島元彦の引き留めはかなわなかったが、ストライカーの枚数は確保。昨シーズン終盤からフィット感を高めたエロンを軸に、どちらも184センチの梅木翼と宮崎鴻、新外国人グスタボは力強さが特徴の選手たちだ。彼らが前線で起点になったり、潰れ役になったりしながら、2列目の郷家友太、相良竜之介らがゴールに迫るというパターンがイメージできる。川崎フロンターレからの期限付き移籍を延長したMF名願斗哉も、はっきりとした結果を求めたい選手だ。
高校生の有望株も獲得した。日章学園から加入のMF南創太は、ドリブルが得意なレフティーだ。昨年8月にはU―18日本代表に招集されている。
同じく昨年8月にU―18日本代表に初選出されたFW安野匠も、ベガルタゴールドのユニフォームに袖を通す。帝京長岡高校でエースナンバーの「14」を背負ったストライカーは、アグレッシブなプレーで早期のJリーグデビューを目ざす。
昇格可能性:B
森山監督が就任2年目となり、J1昇格を強く意識するシーズンとなる。
昨シーズンは50得点、44失点だった。得点をさらに増やし、失点は1試合1点以下(38点以下)を目ざしたい。J1自動昇格圏の2位以内を狙うなら、試合数(38)×2の勝点76以上がノルマになる。18勝10分10敗で勝点64だった昨シーズンから、勝点12(4勝相当)を上乗せする計算だ。
そのためには、「10」あった引分けを勝利に変えていく必要がある。ポイントはアウェイゲームだろう。昨シーズンは8勝6分5敗で、得失点差はプラスマイナス「0」だった。ここで勝利数を伸ばすことが、得失点差のプラスを増やすことにもつながる。
また、7位のジェフユナイテッド千葉にシーズンダブルを喫し、8位の徳島ヴォルティスには1分1敗と勝てなかった。10位のブラウブリッツ秋田、12位のロアッソ熊本、13位の藤枝MYFCにも1分1敗と勝利を逃している。上位陣とは互角に戦ったが、中位に苦戦した印象だ。こうしたチームから勝点をつかむことも、今シーズンの成功の条件と言える。
多くの選手が得点を記録するのも大事だが、勝負どころではやはりストライカーの活躍がほしい。横一線の印象があるFW陣から抜け出す選手が出てくることが、昇格の可能性を高めることにつながる。