ここまで敵なしで4階級で王座についてきた。その井上の近未来に関心が集まっている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext 現スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)は、文字通り敵なしの強さを維持し続けてい…

 

ここまで敵なしで4階級で王座についてきた。その井上の近未来に関心が集まっている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 

 現スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)は、文字通り敵なしの強さを維持し続けている。去る1月24日のキム・イェジュン(韓国)戦も4回KO勝ちで圧倒的な強さを見せつけた“モンスター”の勢いは増すばかりだ。

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 ゆえに人々は井上の“近未来”に目を向ける。すでに今春以降でラスベガス、サウジアラビアといった海外を拠点にスーパーバンタム級、フェザー級の強豪と対戦していくプランが公になり、5階級制覇への道のりに期待も高まっている。

 すでに年内での挑戦が囁かれているのが、WBA世界フェザー級王者ニック・ボール(英国)だ。昨年6月に現王座に就いた27歳は、157センチと小柄ながら積極果敢に打ちに出る“突貫ファイター”。井上に対しても「彼は強い」とコメントしており、実現すれば、文句なしの好カードと言えよう。

 では、井上にとってボール戦はいかなる展開となりえるか。ボクシングの酸いも甘いも知る名伯楽が興味深い意見を口にしている。

 発信者となったのは、テディ・アトラス氏だ。かつて元世界ヘビー級王者のマイク・タイソン(米国)を指導した名トレーナーは、自身のYouTubeチャンネル『THE FIGHT with Teddy Atlas』で「どこかで限界は来るだろう」と井上の階級上げに対する持論を展開。その上で「だが、もう一つ上げるくらいなら問題はない。報じられているボールとの試合はめちゃくちゃ面白い試合になると思う」と断言した。

 百戦錬磨のアトラス氏が「めちゃくちゃ面白い試合になる」と論じる理由はシンプルだ。それはボールの“突貫ファイター”という気質ゆえだという。

「ボールはとにかく前に出る。試合が続く限り、とんでもなく激しい展開になる。まるで火の玉だ。激しく攻め、連打も怠らない。とにかくアグレッシブなんだ。ただ、そのスタイルや気質が、イノウエに通用するかどうかは別の話だ。むしろイノウエのようなテクニカルな技術を持っているファイターにはチャンスになるかもしれないからね」

 さらに井上の今後について「可能性は無限に広がっている」と強調するアトラス氏は、レジェンドとの比較論も口にしている。

「パッキャオとの比較はしっくりくる。彼は信じられないほど多くの階級を駆け上がった。まさに異次元の偉業だ。でも、イノウエはすでにパッキャオのような道を歩んでいる。身体の構造や骨格といった肉体的な限界はあるから、どこまで階級を上げられるかはわからない。でも、これまで4階級で圧倒的な強さを見せ、十分な成功を収めている」

 果たして、井上は今後の戦いでどこまで世界を驚かせるか。アトラス氏の垂涎の的となっている怪物の一挙手一投足が大きな関心を集めるのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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