28日のACL準決勝第1戦、浦和は上海上港とアウェイで対戦し、1-1のドロー。貴重な同点ゴールを奪ったのは10番の柏木…


 28日のACL準決勝第1戦、浦和は上海上港とアウェイで対戦し、1-1のドロー。貴重な同点ゴールを奪ったのは10番の柏木だった。

 必死だった。青木からのパスを落とした興梠は一見、完璧に見えたアシストについて「ちょっと雑だった。欲を言えば(柏木の)右足じゃなくて左足に落としたかった」とミスとまでは言わなくても狙いどおりではなかったことを明かした。しかしその瞬間、柏木には何かを考えている暇などなかった。ちょうどスライディングするDFの上を通過する絶妙なシュートにも「無我夢中で何も考えていなかった。右足で狙えるなら昔から狙ってる」と笑った。

 彼らの言葉を信じれば、シュートはある種の偶発的な要素もはらんでいたのかもしれない。ただ、柏木はこの試合に向け並々ならぬ決意で臨んでいた。

 川崎Fと対戦したACL準々決勝第1戦では先発に名を連ねながらもウォーミングアップで欠場が決まった。そこから欠場が続き、第2戦で復帰したが、またも症状が悪化して続く3試合を欠場した。そして直近のJ1第27節・鳥栖戦の翌日にトレーニングに合流したが、まだ左足でキックできる状態ではなかった。練習後に遊びの要素も含んだPKも右足でキック。「セットプレーも今日まで全然蹴っていなかった」。

 先のことを考えればまだ出場は回避したほうが良かったのかもしれない。ただ、どうしても出たかった。おそらく自身がいない間の浦和の攻撃がうまくいっていないことに、もどかしさも感じていたことだろう。試合前日、柏木はその思いを語っていた。

「100%じゃないけど100以上の力を出す。正直に言えば、この試合で無理をしてリーグ戦に出られなくても、次の上海上港戦に出られればいい。それぐらいACLに懸ける思いは強い」

 その思いが右足に乗った、というのは大げさだろうか。ゴールは自身でも「非常に評価できる」一方、全体的なプレーには「全然納得いっていない」のが率直な感想だった。ただ、このゴールは決勝進出に向けた大きな1点になる可能性を秘めている。そして、そのゴールが、柏木が浦和の攻撃においてやはり欠かせない選手であることをあらためて証明した。

文・菊地 正典