絶対的エースの後継者候補はBユース出身 2月2日、日環アリーナ栃木で行われた「令和6年度 第35回関東高等学校バスケットボール…
絶対的エースの後継者候補はBユース出身
2月2日、日環アリーナ栃木で行われた「令和6年度 第35回関東高等学校バスケットボール新人大会」の男子決勝は、第3クォーター終了時点で2点差と拮抗した好ゲームとなった。しかし、第4クォーター終盤に八王子学園八王子高校(東京都)が一歩前に出ると、最終スコア83−68で土浦日本大学高校(茨城県)を振りきりタイムアップ。4戦全勝で関東新人1位の座を獲得した。
この時期に全国各地で開催される新人大会は、3年生が引退し、メンバー構成は1、2年生のみ。公式戦とはいえ新チームによる“最初の腕試し”という位置づけも否めない中、八王子学園八王子にとっては価値ある優勝だった。
「今年の八王子は翔里さんいなくなったから弱い――。そう言われるのが嫌でした。でも、今回の関東新人で1位になれてとてもうれしいです」。決勝戦においてチームでただ1人40分間コートに立ち、20得点を記録した花島大良(2年)は優勝の感想をそう述べた。
昨年までのチームには十返翔里という大エースがいた。U18日本代表にも選ばれ、日清食品トップリーグでは得点王にも輝いた世代屈指の点取り屋だ。八王子学園八王子をウインターカップベスト8へ導いた十返が抜けた新チームは、花島が明かしたように不安を抱えてのスタートだった。
偉大な先輩を「スーパースター」と呼ぶ花島は、十返からエースの座を引き継ぐ有力候補でもある。身長は180センチと決して高くはないが、「ファストブレイクから点を取ること、あとはドライブも得意です」と、スピードを生かしたプレーを軸にリングにアタックするタイプの点取り屋だ。チームメートのニャン セハセダト(1年)は、「タイラは1対1もできるし、速いです。練習も毎日頑張ってる」と花島について教えてくれた。
中学時代は地元の東京都を少しだけ離れ、U15川崎ブレイブサンダースに所属。「施設や環境も良くて、コーチ陣のサポートもしっかりしていた」ことが決め手となり、Bユースでのプレーを選択した。中学3年間では「スキルももちろんですけど、頭を使ってプレーすることを一番学ぶことができました」と花島は振り返ったが、高校進学の際はインターハイやウインターカップといった大舞台で活躍することに憧れを抱き、八王子学園八王子の門を叩いたという。
しかし、過去2年間は十返の存在もあり、なかなかプレータイムを獲得できなかった。それでも、日々の練習で十返の凄さを肌で感じられたことは、花島にとってこの上ない貴重な時間だった。「練習では翔里さんとペアを組んでいました。その中で翔里さんのスキルをどんどん盗むことができましたし、力強い激しい1対1もできたので、そういった部分が今の自分の成長にもつながっていると思います」。
今大会では、日本航空高校(山梨県)との2回戦で両チーム最多となる32得点の活躍を見せた。しかし、自身のパフォーマンスにはまだまだ課題が多く、花島は「2ポイントに関しては良かったと思いますけど、3ポイントはフリーの状態でも外してしまったのでそこはもっと練習しなければいけないです。個人的にも波があった大会だったので、これからは常に一定のプレーをして得点が取れる選手になっていきたいです」と反省を口にした。
追いかける背中は、まだ大き過ぎるかもしれない。だが、伊東純希コーチから掛けられるのは、「点を取れ」とエースへ向けた言葉。花島もその期待に応えるために、高校生活最後の1年を全力で駆け抜けるつもりだ。
「十返さんのようにたくさん得点を取りたいですし、エースと呼ばれるような存在になってチームを引っ張っていきたいです」
文・写真=小沼克年