サッカー元日本代表監督で、現在は愛媛県今治市を本拠地とするJ2のFC今治の運営会社会長を務める岡田武史さん(68)が1…

 サッカー元日本代表監督で、現在は愛媛県今治市を本拠地とするJ2のFC今治の運営会社会長を務める岡田武史さん(68)が1月31日、高松市で講演した。四国の活性化を目指す企業・団体などでつくる「四国家サポーターズクラブ」の総会にあわせた講演で、今治で進めたスタジアム建設の苦労や今後の構想を語った。

 11年前にFC今治の運営会社役員となった岡田さんは、「どうせ有名人が来てすぐ帰るのだろう」などと言われ、当初は受け入れられなかったと振り返った。市内にサッカースタジアムがなかったため「土地を無償で貸していただいたら、自分で建てます、と言ってしまった」という。

 実際に3億8千万円の資金を集め、2017年に日本で3番目の民設民営スタジアムとして「ありがとうサービス.夢スタジアム」をオープンさせた。

 J2昇格を見据え、新たなスタジアムを構想した際には、欧州の複合型スタジアムをヒントに「試合のない日も365日にぎわうスタジアム」を提案。ドッグランやカフェを備えた新ホーム「アシックス里山スタジアム」が23年にオープンした。チームは昇格を果たし、今季からJ2に初参戦する。

 岡田さんはさらに「衣食住を保障しあう共助のコミュニティー」づくりを提唱。昨年から、アシックス、イオンモールなど6社と連携し、スタジアムを起点に心と身体の健康をサポートしたり、木のおもちゃ美術館を誘致したりするプロジェクトにも取り組んでいるとし、「世界で格差と分断が進み、財政赤字、環境破壊が大きな問題になる中、次世代に希望を残さなくてはいけない」と呼びかけた。(福家司)