Jリーグ屈指の名門である鹿島アントラーズは鬼木新監督の下、「強さ」を取り戻せるのか。恒例のプレシーズンマッチ他から見え…

 Jリーグ屈指の名門である鹿島アントラーズは鬼木新監督の下、「強さ」を取り戻せるのか。恒例のプレシーズンマッチ他から見えたチームの「課題」や「今後」を、サッカージャーナリストの後藤健生がズバリ指摘。2016年以来、優勝から遠ざかってる、かつての常勝軍団の「復権」のために、必要なものとは?

■「満員に近い」1万人超が観戦

 2月1日にケーズデンキ・スタジアムで行われた「いばらきサッカーフェスティバル」、水戸ホーリーホック対鹿島アントラーズの試合を観戦してきた。

 2025年シーズンのJ1リーグでは多くのチームで監督が交代したが、中でも注目は、昨年まで川崎フロンターレを指導し、J1リーグで4度の優勝に導くという輝かしい実績を誇る鬼木達監督が就任した鹿島だろう。

 キャンプ中のトレーニングマッチではまだ結果を残せていないようだったが、鬼木監督の下で鹿島がどのように変貌していくのか、2025年シーズンにも優勝の可能性があるのか……。そのあたりを、見てみたかった。

 満員に近い1万505人の観衆が入った水戸対鹿島の試合は1対1の引き分けに終わったが、内容的には互いの狙いが発揮された面白い試合となった。観戦者としても、両チームの今後を占う上で非常に参考になる試合だった。

■先手を取ったのは「ホーム水戸」

 まず先手を取ったのが、ホームの水戸だった。

 5分に中盤でボールを奪ってボランチの川上航立が左に展開したところから、鹿島がタッチに逃れてスローインとなり、スローインからのボールを川上から草野侑己につなぎ、草野がペナルティーエリア内で深い位置まで持ち込んでマイナスのクロス。受けた久保征一郎のシュートが鹿島DFの関川郁万に当たって、オウンゴールで水戸が先制した(得点は6分)。

 水戸はともに22歳の川上(立正大出)と津久井匠海のボランチ・コンビのところでボールを奪い、それを素早く前線につなぐというショート・カウンターの意識が徹底されていたが、その狙い通りの形からの攻撃が得点につながったのは、大きな収穫となるはずだ。

 また、右の村田航一、左の大森渚生の両サイドバックが交互に攻め上がって、サイドからの崩しやアーリークロスも的確で、その後も何度も得点機を作っていたが、シュートがバーに当たったり、鹿島のGK早川友基の好セーブに阻まれたりして追加点は奪えなかった。

 ただ、前述のように攻撃の狙いは十分に表現できていた。昨シーズンはJ2リーグ15位と低迷した水戸だが、鹿島という強豪相手に十分に上位を狙う力があることを示した試合だった(「目標はプレーオフの6位以内」と森直樹監督)。

 また、ボランチとして素晴らしいプレーを見せた川上をはじめ、大学出の新人選手ら若い選手が多く起用されたが(先発11人の平均が24.45歳)、チームとしての完成度も高いようで、仕上がりは順調のように見えた。

■今後の「課題」がはっきりした試合

 ただ、もちろん、この試合は開幕を間近に控えたプレシーズンマッチだったので、鹿島も体を張って厳しい守備を行ったわけではない。J2というリーグは、「J1昇格」あるいは「J2残留」を目指す激しく厳しい試合が多いので、そういった時間もスペースも与えられない中で、どこまで攻撃力を発揮できるかが鍵となるだろう。

 鹿島にとっても、この試合はキャンプを通じて積み上げてきたことを試す絶好の機会となった。

 何ができて、何がこれからの課題なのかがはっきりした試合であり、また、課題となる前線の組み合わせを何通りも試せたので、鬼木監督にとっては多くの情報が得られた試合になったのではないだろうか。

 鹿島の得点はCKから生まれたゴール前の混戦からの跳ね返りを田川亨介が決めたもので、流れの中からのゴールは生まれなかった。「個の力」の差のおかげで、水戸の12本を上回る15本のシュートを記録しはしたが、攻撃がうまく機能したようには見えなかった。

 そんな中で最も目を引いたのが、右サイドの攻撃だった。(2)に続く。

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