フィゲロアに完勝したフルトン。(C)Getty Images 文字通りの完勝で名手は世界王者に返り咲いた。 現地時間2月1日、米ネバダ州ラスベガスでボクシングのWBC世界フェザー級タイトルマッチ12回戦が行われ、同級2位のスティーブン・フル…
フィゲロアに完勝したフルトン。(C)Getty Images
文字通りの完勝で名手は世界王者に返り咲いた。
現地時間2月1日、米ネバダ州ラスベガスでボクシングのWBC世界フェザー級タイトルマッチ12回戦が行われ、同級2位のスティーブン・フルトンが、王者ブランドン・フィゲロア(ともに米国)に判定勝ち(116-112×2、117-111)。2023年8月に井上尚弥(大橋)に敗れて以来となる世界王座返り咲きを果たした。
序盤から攻勢を強める王者に対して“クールボーイ”の異名のごとくフルトンはクレバーに試合を進めた。フィゲロアに距離を詰められ、接近戦に持ち込まれたが、フックや右アッパーを的確にヒット。確実かつ正確にポイントを稼いでいき、王者に主導権を握らせなかった。
激しい打ち合いとならず、会場からはブーイングも飛んだ。それでも自身のペースを貫き、12ラウンドを戦い抜いたフルトン。試合後には2021年11月にスーパーバンタム級で対峙して以来のリマッチとなったフィゲロアについて「彼は階級を上げて前よりスローダウンした。パワーは前と同じだった」と指摘。その上で「今は、とにかく喜びを感じていたい。その後のことはまた考えたい」と語った。
見どころがあったわけではない。しかし、王者に付け入る隙を与えなかったフルトンの試合巧者ぶりには、現地メディアも称賛を寄せる。米ボクシング専門サイト『Boxing Scene』は「公平に言えば、泥仕合にしたのはフルトンではなくフィゲロアだった」とリーチの差を活かさずに、近距離戦に持ち込んだ王者の“過ち”を糾弾。一方で相手をいなし続けた挑戦者のパフォーマンスを、次のように称えた。
「フルトンがしなかったのは、試合を強引に押し進めようとしなかったことだ。彼はその代わりに、フィゲロアの腕を止め、脅威となるものはすべて縛りつけ、とにかく隙が現れるのを待った。そして隙を見つけると、フルトンは質の高いアッパーカットを繰り出した」
王者の出方を見極め、確実に勝利を手繰り寄せた。将来的にフェザー級への階級上げが予想されている井上の動向次第ではあるが、フルトンとのリマッチの機会が訪れるかは注目だ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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