昨年9月に復帰したマチェイ・スコルジャ監督率いる浦和レッズ。2025年の目標はもちろんJ1王者奪還だ。ベア・マティアス・ヘグモ前監督とスコルジャ監督がバトンをつないだ昨季はまさかの13位に沈んだだけに、そこからの浮上はマスト。さらにYBC…
昨年9月に復帰したマチェイ・スコルジャ監督率いる浦和レッズ。2025年の目標はもちろんJ1王者奪還だ。ベア・マティアス・ヘグモ前監督とスコルジャ監督がバトンをつないだ昨季はまさかの13位に沈んだだけに、そこからの浮上はマスト。さらにYBCルヴァンカップ、天皇杯のタイトル獲得、そして6月に控えるFIFAクラブワールドカップ(W杯)の上位躍進も目指す必要がある。
1月12から2週間以上を消化した沖縄キャンプでそのベースは構築できたのか。1月28日のガンバ大阪とのテストマッチ(45分×3本)を見る限りだと、仕上がりは悪くなさそうだ。特に攻撃陣は昨季チーム得点王のチアゴ・サンタナにゴールが生まれ、新戦力の松本泰志が2得点。中島翔哉も1点を奪っている。「いかにして点を取るか」という重要命題の解決策が見えてきているのは確かだろう。
そこで、開幕2週間前の攻撃陣の最新序列を考察してみたい。まず1トップのところだが、やはりチアゴ・サンタナがファーストチョイスと言っていい。
スコルジャ体制の昨季終盤3か月は「後半から出てくる切り札」という位置づけだったが、今季はコンディション的にかなり上向いている様子だ。指揮官はFWに前線からの激しい守備を要求するため、サンタナにとっては厳しい側面もあったが、とりあえず2月15日の開幕・ヴィッセル神戸戦の段階では先発できそう。間もなく32歳になる点取屋がハードワークとゴールのバランスをどう取っていくのか。動向を注視したいところだ。
■右サイドの序列とは
彼に続くのが長倉幹樹。昨季のアルビレックス新潟でもJ1では小野裕二と交代出場するのが常で、ジョーカー起用には慣れている。当初はブライアン・リンセンのような使い方になるのではないかという見方もあったが、「監督の戦術を理解することはできているんですけど、試合でどう表現するかが難しい」と本人も苦労しており、スタメン抜擢にはもう少し時間がかかりそうだ。
それでも、ガンバ戦の3点目は、長倉がボールを受けに行く動きで敵をつり出し、入れ替わった松本がスペースに侵入。自身2点目をゲットしており、長倉のよさが出た形だった。そういうプレーを繰り返していれば、いずれ頭から出るチャンスもありそうだ。2人の下に位置づけられている高橋利樹含め、日本人FWの奮起が待たれる。
一方、2列目に関しては、他のクラブがうらやむほどの豊富な戦力がいる。2018年当時の森保ジャパン2列目の主軸を担っていた原口元気と中島翔哉の2人が揃っているだけでも、かなり贅沢。その2人が揃って絶対的な存在になれないところが、今季の浦和の選手層を物語っている。
まず右サイドだが、現状では新戦力の金子拓郎が最上位で、前田直輝、二田理央らが続くと見られる。目下、負傷で別メニューの大久保智明が戻ってくれば競争に加わることになる。もともとスコルジャ監督のお気に入りの選手だけに、状況次第では金子からポジションを取る可能性もゼロではない。
ただ、開幕時点では金子がスタートから行くことになるだろう。の打開力と推進力、経験値、リーダーシップは今のチームに欠かせないからだ。右から崩してサンタナのゴールをお膳立てする形も多くなるだろう。彼はコンサドーレ札幌時代も右サイドで無双していたが、欧州経験を積み重ねたことで、より鋭さを増した印象もある。まさに今季のキーマンと言えるだろう。
■原口は”12人目のレギュラー”
左はやはりマテウス・サヴィオの存在感が非常に大きい。原口と共存させるため、サヴィオを中央に動かすというプランもないとは言えないが、開幕時点ではサヴィオが先発、原口がジョーカーという構図になりそうだ。
ただ、原口は完全なるサブではなく”12人目のレギュラー”という扱いになるはず。彼ほどの経験値のある人材を指揮官が使わないはずはないからだ。
今後、リハビリ中の松尾佑介が復帰してくるだろうし、関根貴大もこのポジションをこなせる。そのあたりをどう使い分けていくのか。指揮官の判断に注目したい。
トップ下は中島、安部裕葵、渡邉凌磨など複数人材がいる中、最も輝いているのが松本。サンフレッチェ広島時代もボランチと2列目のところを柔軟に動きながらダイナミックな飛び出しとゴールに絡むプレーを見せていたが、そのストロングは浦和でも健在。周りとの連携もスムーズで、彼は今季の最重要ポイントになるかもしれない。
「トップでスタートするのは全然いいですけど、凌磨君もトップ下ができるので、うまくコミュニケーションしながらできると思う」と松本は渡邉との共存にも手ごたえを口にする。それが機能し、攻守両面で躍動感が生まれれば理想的。前向きに捉えてよさそうだ。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)