キム・イェジュンのジェスチャーを見逃すことなく、打ちのめした井上。(C)産経新聞社 やはり絶対王者に対する不用意なジェスチャーだった。 1月24日、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が、東京・有明アリーナでW…

キム・イェジュンのジェスチャーを見逃すことなく、打ちのめした井上。(C)産経新聞社

 やはり絶対王者に対する不用意なジェスチャーだった。

 1月24日、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が、東京・有明アリーナでWBO11位キム・イェジュン(韓国)と4団体防衛戦に臨み、4回2分25秒KO勝ちを収めた。

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 文字通り“粉砕”した。10日前に対戦相手が変更となる異例の興行で、初回はサウスポーの相手に慎重な立ち上がりを見せた井上だったが、徐々に主導権を掌握。そして決着は4回。鈍い打撃音が鳴る左フックを効かせてから猛ラッシュを展開。それでも、立ち続けたキムを一気呵成に攻め続けた“モンスター”は、最後は容赦なくワンツーを炸裂。脳が揺れているのか、力なくリングに倒れた挑戦者を見かねて敵陣営からタオルが飛んだ。

 試合後に涙ながらに花道を引き下がったキム・イェジュン。だが、彼に関して小さくない注目を集めたのは、KO直前のジェスチャーだ。KOに繋がるワンツーを受ける寸前、やや後ろず去りをしながらも、32歳の韓国人戦士は「来いよ」と言わんばかりに右手をクイッと挙げる振る舞いを見せたのだ。

 当人曰く、「戦略として、井上選手が自分に近づいてきたタイミングで(カウンターを)返すという狙いがあった」。しかし、完全なる劣勢のシチュエーションでのジェスチャーは強がりのようにも見えた。

 無論、絶対王者がジェスチャーを見逃すはずがない。試合後の会見で問題の場面について問われた井上は、「ちょっとムッとした」とポツり。続けざまに苦笑いを浮かべながら「絶対に倒してやろうと思った。『そんなことしなきゃいいのに』、と思いましたね」とも語った。

 緊迫の攻防の中での“戦略的挑発”。それは世界で「モンスター」と称される井上に対してあまりに不用意だった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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