鬼木達新監督のサッカーを具現化するために、今の鹿島アントラーズに求められているのが、高い位置でボールを奪い、いい距離感…
鬼木達新監督のサッカーを具現化するために、今の鹿島アントラーズに求められているのが、高い位置でボールを奪い、いい距離感でしっかりとしたつなぎを見せ、敵を凌駕する攻撃を繰り出していくこと。それは川崎フロンターレが圧倒的な強さを誇った時をイメージすれば分かりやすいだろう。
とはいえ、そのスタイルがいきなり完成形になるわけではない。特に鹿島の選手たちはボールを止める・蹴るのベースが確立されていない部分がある。1つのコントロールがズレると、その分、連動性も低下してしまう。選手たちは今、ジレンマを感じながら、いい方向に進もうと、懸命に取り組んでいる様子だ。
1月21日のツエーゲン金沢との練習試合でもそんな印象が見て取れた。1本目に柴崎岳とボランチを組んだ三竿健斗もこんな話をしていた。
「ボランチの距離感が今までより近くなっているんで、より孤立しないところはありますね。ただ、狭いところでボールを受ける場面が増えるんで、そこで失わないことはもちろん、ボールが来る前に相手の誰が寄せてくるかというのを認識していくことも必要ですね。
今日も疲労が溜まってきて、敵が見えなくなり、食われる場面もあった。そこで食われたからといって逃げるんじゃなくて、次、どうしたらいいかっていうのを考えて、またトライして、どんどん成長していければいいと思う。エラーが出るのを気にせず、そこでゲームを作れるようにしたいです」と彼は貪欲に前へ前へ進もうとしているという。
■ボランチのファーストチョイスは
ボランチの組み合わせに関しては、柴崎と三竿が今のところファーストチョイスのようだが、2本目の知念慶・樋口雄太というのも有力な組み合わせと言っていい。
特に知念は鬼木チルドレンの1人。川崎時代はご存じの通り、FWで使われていたが、昨季のボランチコンバートを指揮官も興味深く感じたという。その才能をさらに伸ばしていこうという思いも強いはずだ。
「前回(熊本戦)はミスが多かったですけど、今回は非常にアグレッシブだったし、頑張っていましたね。
彼がなぜ昨年のベストイレブンに入ったのかといえば、守備の強さだと思います。僕は攻撃の話をしていますけど、ストロングの守備の強さが疎かになったら全く意味がない。攻撃でも守備でもリズムを作れますけど、今日はそこにかなり球際のところが出てきた。前回の試合なんかは球際を作れない状況も多かったので、よくなりましたね。
攻撃のところも上手にはやってますけど、もう一段上に行く、相手にとって脅威になるという意味で、FWの知念の能力をどれだけボランチで出すか。彼は人にない能力をもともと持っちゃっているので、出してほしいなと思います」と鬼木監督は力を込めていた。
■知念がキャプテンマーク
確かに知念が中村憲剛(川崎FRO)や大島僚太(川崎)のようなタテパスを出す能力、ボールを出し入れする力を身に着ければ、鬼に金棒だ。日本代表経験のある柴崎や三竿をも追い越していくことが可能になる。2本目にキャプテンマークを託したのも、指揮官の大きな期待の表れだろう。どんな相手と対峙しても確実にゲームをコントロールできるボランチが複数いれば、鹿島の躍進は間違いない。ある意味、彼らは今季の命運を左右する存在と言っても過言ではないのだ。
「開幕までにやることは沢山ある。攻撃で言ったら、よりシンプルなミスをなくすこと、決定機を沢山作るために周りと関わり続けることが必要だと思います。
今はボールを受けることに全体的な意識が強くなりすぎているのかなと。シンプルに背後を取って1点取れれば一番いい。まずはそこを見つつ、相手がそれを消してきた時に足元という選択肢でプレーできるようになれればいいですね」と三竿も2月15日の開幕・湘南ベルマーレ戦を見据えていた。チームとしてやるべきことを彼らボランチ陣から発信し、目線合わせができれば、鬼木サッカーの具現化もグングン進むはず。そうなるように、残された宮崎キャンプ、そして本拠地に戻ってからのトレーニングを大事にしてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)