2023年から”休養期間”を挟んで、実質3シーズン目となるスコルジャ監督は、これまでの守備的なイメージから脱却し、得点…
2023年から”休養期間”を挟んで、実質3シーズン目となるスコルジャ監督は、これまでの守備的なイメージから脱却し、得点力アップを実現するべく”ダブル8番”を軸としながら、攻守に前向きなサッカーを推し進める。その浦和で戦術面でも大きな影響を与えそうなのが、マテウス・サヴィオと金子拓郎という二人の新戦力だ。
ヘグモ前監督が率いていた昨年から、浦和はサイドアタッカーの強化に余念なく努めてきたが、ローマから鳴物入りで加入したオラ・ソルバッケンが前半戦の大半を怪我からのリハビリに費やした上に、契約延長が実現せず、半年で浦和を去ってしまった。ベルギーから復帰した松尾佑介も怪我の時期が長く、なかなかフルに実力を発揮できないなど、チームとしても消化不良感の否めない昨シーズンになってしまった。
柏レイソルから新加入のマテウス・サヴィオは言わずと知れた昨年のJ1ベスト11で、日本での実績も申し分ない外国人選手だ。金子も北海道コンサドーレ札幌で評価を高めて、クロアチア、ベルギーと欧州を経験してきたサイドアタッカーで、左利きを生かしたドリブル能力とアシスト、ゴールに直結するプレーは折り紙付き。やはり個人で打開できるタレントが二枚いるだけで、浦和の攻撃力はアップすると見て間違いない。
■「自分たちの方がチャンスを作れた」
鍵になるのはスコルジャ監督が押し進める”ダブル8番”を軸とした攻撃スタイルに、マテウス・サヴィオや金子の”個の力”がどうハマるかというところだが、ここまでは順調と言える。
東京ヴェルディ戦でも、強固な5バックを敷きながら、局面でプレスをかけてくる相手に対して、マテウス・サヴィオと金子が預けどころとなり、彼らがボールを失わないことで、ボランチの渡邊やグスタフソン、サイドバックの選手などが攻撃参加して相手ゴールを脅かすシーンが見られた。
ただ、練習試合とはいえ継続路線で、主力の完成度が高いヴェルディを相手に、マテウス・サヴィオや金子が持つ本来の仕掛け、局面打開というところまでは見られなかった。お互い現時点のファーストセットと見られる陣容で対戦した1本目は、45分でスコアレスドローに終わったが、マテウス・サヴィオは「ヴェルディは昨年とあまり選手の入れ替えがなかった。我々よりも連携は良いと考えています。ただし、自分たちの方がチャンスを作れた」と前向きに語った。
■金子拓郎とサヴィオのポジションは
金子が右、マテウス・サヴィオが左で、彼らに良い形で持たせるというのは1つの理想型と言えるが、現在はマテウス・サヴィオを2列目の中央に配置し、左に原口元気を起用するなど、いくつかの組み合わせを試している。マテウス・サヴィオも「昨年の柏では左サイドをやっていたけど、僕は10番の選手」と前向きだ。攻撃の中心になって行きそうなマテウス・サヴィオが中央も左サイドもこなせれば、最も充実した戦力の揃う二列目のタレントを存分に生かせることもメリットだろう。
例えばマテウス・サヴィオが中央で、右は金子、左は原口という並びでスタートし、途中からマテウス・サヴィオが左に移り、中央に松本泰志や中島翔哉を入れたり、チアゴ・サンタナとアルビレックス新潟から加入したFW長倉幹樹の2トップにシフトチェンジすることも可能になる。そうしたバリエーションも見越したチーム作りの段階ではあるが、マテウス・サヴィオにしても、金子にしても守備のタスクを当たり前のようにこなした上で、攻撃面の強みを出そうとしていることはスコルジャ監督が彼らを信頼して使える1つの支えになって行きそうだ。
ただ、二人ともボールを持って仕掛けられる選手だけに、連動性を生かした崩しの意識が強くなりすぎると、そうした持ち味が発揮しにくくなり、逆に仕掛けばかりになっても、スコルジャ監督が打ち出すスタイルから逸脱していってしまう。そこの難しさはヴェルディ戦でも見られた。二人とも個人能力は高いが、非常に真面目なキャラクターでもあるだけに、そこのコントロールはスコルジャ監督の働きかけも大事になりそうだ。
マテウス・サヴィオがと金子拓郎という二人の攻撃キーマンをどう生かすか。浦和の得点力不足を解消し、リーグ戦でのジャンプアップを目指す上で、最重要テーマの1つとなっていくことは間違いない。
(取材・文/河治良幸)