監督交代によるプラス効果が期待できるチームもあれば、逆に難しくなりそうなチームもある。2年連続で指揮官が代わった横浜F…
監督交代によるプラス効果が期待できるチームもあれば、逆に難しくなりそうなチームもある。2年連続で指揮官が代わった横浜F・マリノス、8年間の鬼木達監督体制から新たな時代へ突入した川崎フロンターレ、2019年のJ1・2位から中位をウロウロする形になっているFC東京は新指揮官の志向するスタイルを植え付けるのに時間を擁するだろう。すぐに結果を求めるのはハードルが高いかもしれない。
まずマリノスだが、そもそもホーランド監督がJリーグや日本人選手の特徴を把握するところからスタートしなければいけないというハンディキャップがある。
「監督には試合を数多く見ていただき、課題点や解決策等の議論を重ねたうえで合意した」と西野努スポーティング・ダイレクター(SD)は前向きにコメントしているが、実際に指導するうえでイングランドとの違いを感じることもあるだろう。
それに加えて、今季のマリノスは昨季の主力が続々と移籍。特に守備陣は再構築を迫られている。新たに新助っ人DFジェイソン・キニョーネスを獲得し、CBの手薄感は否めない。今後まだ補強があるかもしれないが、守りのベースをいち早く、構築しなければ、上位浮上は難しくなる。そのあたりがどうなっていくかを見守っていくしかない。
■川崎の激戦ポジションと懸念点
川崎の長谷部茂利監督は強固な守備をベースにアビスパ福岡を躍進させた指揮官。クラブ初タイトルももたらしている。新天地・川崎も古巣で、スタッフは慣れ親しんだ関係の人材もいるだけにやりやすさはあるだろうが、一番難しいのは指揮官が3バックを念頭に置いたチーム作りを進めている点だ。
鬼木監督体制は4バックで戦っており、それに合った選手が揃っている。DFの枚数はある程度いるものの、WBの人材が少ないという課題もある。その一方でシャドウ要員は数多くいて、最大激戦区になっている。そのあたりを長谷部監督がどう使いこなすのか。あるいは4バックも視野に入れ、修正を図っていくのか。その方向性次第で成否が大きく分かれそうだ。
東京にしても、長谷川健太監督(現名古屋)が去った後、ボールポゼッションを重視した攻撃サッカーを目指して進んできたが、必ずしも結果が出ていない状況にある。ご存じの通り、松橋力蔵監督はアルビレックス新潟時代にGKを使った大胆なビルドアップと攻撃的なスタイルを植え付け、上位とも互角に戦えるチームを作り上げたが、それを東京でいきなりやろうとしても、すぐに完成形に仕上げるのは難しそうだ。
重要なキーマンになりそうなのは、新潟時代の秘蔵っ子・高宇洋。彼を中心に自分のスタイルを早く浸透させられれば、いい方向に向かうかもしれない。そうなるように、4年ぶりに呼び戻した橋本拳人、サガン鳥栖から獲得したマルセロ・ヒアンら新戦力も含めて一体感を作れるか否か。それが大いに問われるだろう。
■新潟とC大阪が推し進めるもの
その松橋監督が去り、水戸ホーリーホックのコーチを務めていた樹森大介監督を招聘した新潟、そしてクラブ在籍27年の小菊昭雄監督(現鳥栖)が離れ、アンジェ・ポステコグルー監督の下でコーチを務めていたアーサー・パパス監督を抜擢したセレッソ大阪の2チームは不透明な部分が少なくない。
セレッソの方は畠中槙之介や中島元彦、ラファエル・ハットン、チアゴ・アンドラーデらまずまずの新戦力を補強し、昨季の水準をキープしようとしている分、まだパパス監督もやりやすいだろうが、新潟の方は小島亨介(柏)や長倉幹樹(浦和)ら主力級が流出。松橋監督だからこそ生きたような選手も数多くいて、樹森監督がその路線を継続できるのかどうか気掛かりではある。
もちろんキャンプ期間にしっかりとした意思統一を図れれば、予想外の快進撃を見せることも不可能ではないだろうが、果たしてどうなのか。Jリーグで初めて采配を振るう彼自身にとってはかなり難易度は高いだろうが、最善を尽くし、下位低迷を回避すること。それを推し進めるしかない。
この8チームの動向次第で今季J1の構図は大きく変わってくる。各チームの動きを注視しつつ、全体の流れや展開を見極めていきたいものである。
(取材・文/元川悦子)