【グランドスラム オブ カーリング】マスターズ (1月17日/カナダ)【映像】劇的同点ドローショットの瞬間 絶体絶命だった。 ロコ・ソラーレ(Fujisawa)は、予選ラウンド1勝2敗。カナダのチーム・エイナーソン(Einarson)との最…
【グランドスラム オブ カーリング】マスターズ (1月17日/カナダ)
絶体絶命だった。
ロコ・ソラーレ(Fujisawa)は、予選ラウンド1勝2敗。カナダのチーム・エイナーソン(Einarson)との最終戦を落とすと敗退が決まってしまう上に、この試合も最終8エンドを迎えて2点ビハインドという窮地に立たされていた。
しかし、自分たちの粘り強さを「ゾンビゲーム」と喩えるロコ・ソラーレの面々は決して諦めなかった。フロントエンドで複数点の芽を蒔くと、相手の石をいたずらに排除せず利用できる方法を慎重に幅広く考えた。8エンド突入時に残っていた5分40秒の持ち時間は、スキップ藤澤五月の1投目を放つ時には50秒を切っていた。サードの吉田知那美のところでタイムアウトも使い切った。
それでも藤澤は焦る気持ちを抑えて第1投を、相手がダブルテイクアウトできない自軍の石とほぼ並行の位置にピンポイントで決める。たまらず相手は善後策を取るためにタイムアウトを取るが、その間にすかさず鈴木夕湖が「時間なくなっちゃうから(最終投で何を投げるか)決めて、コミュニケーション取って投げよう」とチームに効果的な声かけをした。藤澤が1投目で投げた石は相手の最終投でテイクされるが、投げる藤澤とそれをハウスで待つ吉田知は鈴木の声かけにもあったように「(1投目と)同じでいっか」「うん、いいと思う」と最低限の言葉で共有し、藤澤は残り30秒あまりでハック(デリバリーの足場)に到達すると、迷う素ぶりも見せずにラストロックを投げる体制を整えた。
藤澤のこの試合のショット率は71%。決していい数字ではない。3エンドにはドローを決めきれずに複数点のチャンスを逸してしまった経緯もある。何よりもミスをしたら敗退。残り21秒。重圧もあった。やや表情は硬かったが、藤澤が石をリリースした直後に吉田知から「ライン完璧」とコールがかかる。吉田夕と鈴木もスイープで後押ししすると、ロコ・ソラーレの赤石はハウス中央に静かに沈み、この試合初の複数得点で同点に追いつく。エキストラエンドに突入した。
これにはこの試合を解説した市川美余さんも「(藤澤が)ドローに苦しんでいましたけれど、よく決めました」と興奮を隠せなかった。ABEMAのコメント欄も「途中危なかったけどよく耐えた」や「ロコソラーレは追い詰められたほうが勝つ気がする!」などと大盛り上がり。さらには「大好きなスチールするぞ」というコメントもあったが、その予想どおり、エキストラエンドは3点スティールで逆転勝利を収め「これがロコ劇場」とファンは劇的な結末に歓喜した。試合後の18日朝にタイブレーク進出も決定。ロコ劇場は第二幕が待っているかもしれない。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)