現役を引退した大相撲の横綱の照ノ富士(33)=本名・杉野森正山、モンゴル出身=が17日、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富…
現役を引退した大相撲の横綱の照ノ富士(33)=本名・杉野森正山、モンゴル出身=が17日、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)とともに東京・国技館で記者会見に臨んだ。幕内優勝10度。14年間にわたる不屈の歩みを振り返った。
照ノ富士は冒頭、「自分の中でできる限りのことを尽くしてきたつもりですが、思い通りの相撲ができなくなり、これ以上、中途半端な気持ちと体で土俵に立つべきではないと思いました」と語った。
その表情はすがすがしかった。「もうちょっと、という気持ちはない。逆に、やりすぎた」
引退の決意は、今場所の初日の取組後に固まったという。2場所連続の全休を経て復帰した最初の一番で、小結若隆景に肩すかしで敗れた。ひざと腰の痛みが、限界を迎えていた。
「今まで相撲をとってきて前に落ちるっていうのはあんまりなかった。稽古不足もあると思うんですけど、体もついていかなくなったのかなと感じた」
照ノ富士はモンゴルの学校から鳥取城北高に編入し、2011年に19歳で角界入り。23歳で新大関に昇進したが、けがや糖尿病の影響で序二段まで落ちた。「自分にうそをつかない、自分に負けるなと言い聞かせた」。番付を戻し、21年7月の名古屋場所後に73代横綱に昇進した。「一人横綱」として角界を引っ張り続けた。
「思い出に残る一番は」と問われると、「一番一番に全力を尽くしてやってきたつもり」とした上で「序二段に落ちて1番最初の土俵」を挙げた。「14年間の相撲人生の中で1番緊張して、そわそわした」と振り返った。
照ノ富士にとって相撲とは、横綱とは。
「ただのスポーツではない、国技。『私たちは日本人だ』という誇りを奮い立たせるためにあるものの一つだと思っていて、多くの方がリスペクトして支えてくれるもの。(横綱は)だからこそきれいに美しくあらないといけない。それを常に考えてきた」
会見後、「サボりたいときも横で奮い立たせてくれた」という妻のドルジハンドさんから花束を受け取り、母と長男の照務甚(てむじん)君も一緒になって記念写真を撮った。
5年間は親方になれる横綱の特権があり、当面は照ノ富士親方として伊勢ケ浜部屋で後進を指導する。