井上との試合が決まったキム・イェジュン。(※Lemino提供の映像より)「井上は今までキャリアを通じて、私のような選手と闘ったことがないと思う」 そう語るのは、ボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)と1月24日に有明…
井上との試合が決まったキム・イェジュン。(※Lemino提供の映像より)
「井上は今までキャリアを通じて、私のような選手と闘ったことがないと思う」
そう語るのは、ボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)と1月24日に有明アリーナで対戦するWBOオリエンタル同級王者で、WBO世界同級11位のキム・イェジュン(韓国)だ。
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千載一遇のチャンスが舞い込んだ。当初、24日に対戦が予定されていたのは、WBO&IBF同級1位のサム・グッドマン(オーストラリア)だった。しかし、無敗のチャレンジャーは昨年12月24日にも負っていた左目上の裂傷を再発させて2度目のキャンセルを申請。緊急的な代役として32歳の韓国人ファイターが指名された。
当然ながら下馬評は井上の圧倒的優位だ。史上2人目となる2階級での4団体統一を果たした“モンスター”と、WBO以外の3団体で世界ランキングに入っていない挑戦者との差は明白。さらにキム・イェジュンは独占ライブ配信する『Lemino』の代表取材陣の前で練習を公開した際にはサウスポースタイルで通したが、井上は昨年5月にルイス・ネリ(メキシコ)、同9月にテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)と、立て続けにサウスポーを撃破。苦手意識などまったくない。
それでも「彼が今どんなことを考えているのかはなんとなく予想はつく。でも、それが全然違うということを言いたい」と豪語するキム・イェジュンは「多分、リングの上で私と一度パンチを交えると、私が今何を言っているのか分かると思う」と豪語。自信にあふれた態度で、過去に韓国人ボクサーとの対戦経験のない井上に対する想いを明かしている。
「井上を相手にすると思ったことは一度もない。闘うべきだと思ったこともないし、井上選手は私の階級の中で最高の選手。一番上手な選手だから、練習相手にしていつも練習してきた。私はすべてのテンポが速いし、パンチが強くてテクニックがある。そういうのは全部、井上のテンポに合わせたもの。私にとっては奇跡。今の韓国ボクシングのこの状況では本当に奇跡なんだ。それが起きるとは思いませんでした」
井上を「KOする方向で練習をしている」
無論、世界が「モンスター」と恐れる井上に畏怖にも似た想いがないわけではない。しかし、リザーバーとして対戦の可能性を1か月前から連絡を受けていたというキム・イェジュンは「私のすべての練習と、私のすべてのパターンは全部、井上のために作られていて、そういう練習方法でいつもやってきた」と断言。「私のすべての練習はいつも井上に照準を合わせていたから、井上を懲らしめられるかもしれない」と続けた。
「だんだんと近づいてきた。やればやるほど近づいてきて、追いついて、対決することになった。ほぼ追いついたと思う。完全に追いついたのではなく、ほとんど追いついたと思うぐらい。だから戦略的に狙っていくつもりだ。元々の私は、今の井上の攻撃を耐えられるレベルではない。そこに戦略を加えると、また別のゲームが現れると思う。それはちょっと期待してもいい」
井上有利の声にも「何とも思わない。当然の話だから」と冷静に語る32歳は、「KOする方向で練習をしている。そういうのが出て欲しい」とも豪語。「私がすることで試合が終わって欲しいし、私はいつもそういう風に考えて練習をしてきた」と好戦的な試合をする意気込みを口にしている。
また、対日本人に7戦7勝の「日本人キラー」としても知られるキム・イェジュンは「日本人選手との対戦はいつも一番簡単だった」と言う。過去に世界的な名のあるボクサーとの対戦経験はないが、日本人ファイター、ひいては井上との対戦にも特別な意識はないようである。
「フィリピンの選手や他の東南アジアの選手の時がむしろちょっと普通の感じ。日本人選手との対決は勝ちやすいからいつも楽しんでいた。その特性を私はよく知っている。彼らには特有の基本というものがある。それを私は崩せるので実は簡単だった。スタイル的な相性もいい。(井上戦に向けた)気持ちはちょっと違う。彼はシンプルなスタイルの頂点にいる。でも、日本人選手の特性を井上も持っているのは事実。それを知っている私には自信がある」
日本人ファイターに対するキム・イェジュンの揺るぎない自信は、井上戦でいかに作用するのか。開催まで約1週間となった試合に興味が尽きない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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