NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン1 第4節(リーグ戦)カンファレンスA2025年1月11日(土)12:00 Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu (神奈…

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第4節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年1月11日(土)12:00 Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu (神奈川県)
東芝ブレイブルーパス東京 22-14 浦安D-Rocks

屈強な相手だけでなく、可憐なコラボ相手まで。常に準備を怠らない眞野泰地


東芝ブレイブルーパス東京の眞野泰地選手

東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は1月11日、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで浦安D-Rocks(以下、浦安DR)に22対14で競り勝って、開幕4連勝。眞野泰地が攻守に輝いた。

前半3分に自陣から右側に向かってスルスルと抜け出し、タックルで倒されながらもオフロードパスをとおすと、すぐに起き上がって左側の広いラインに参加して効果的なバックハンドパス。その後はスタンドオフの位置でボールを受け取って、ラインの裏側にいた松永拓朗につなぎ、マイケル・コリンズの先制トライを生み出した。

ボールをもらう前には首を振ってスペースを確認し、パスが来る前から味方に声を掛け、指で示してコミュニケーションを取る。眞野の質の高い準備が結果として表れた3回のボールタッチだった。

「BL東京はボールを動かすスタイルなので、自分もしっかりボールを動かして、走って、どんどんモメンタム(勢い)を与えられるように意識しています」

ディフェンスでは前半25分にゴール前5mで田村煕に追いつくトライセーブタックルを決め、同26分にはタナ・トゥハカライナを押し戻す強烈なタックル。後半14分には南アフリカ代表ヤスパー・ヴィーセに低い姿勢で突き刺さり、伊藤鐘平とともに押し返した。

「流れが良くなかったので相手に刺さって一気に流れを変えたいと思っていました。相手のアタックの陣形を見てここに来るだろうと予測して、パスが来た瞬間に強いコンタクトができるようにしています。相手選手がこういうプレーをすると分かったので、そこを狙ってハマった感じです」

アタックにおいても、ディフェンスにおいても、眞野の“準備力”が素晴らしいパフォーマンスにつながっている。

取材の最後に、前節で『スターダストランド賞(マッチパートナーによる賞)』に選ばれ、アイドルグループ・私立恵比寿中学のメンバーに囲まれてやや緊張気味に写真撮影に臨んでいたことを質問すると、眞野はここでもしっかりと準備をしていた。

「(私立恵比寿中学のことを)ちゃんと勉強しました。もともと知ってはいたんですけど、そこまで深くは知らなかったので、コラボのことを知ってから勉強して、全員の名前を覚えた状態でした。せっかく来てくださるのに、こちらが分かっていないと失礼なので」

屈強な対戦相手だけでなく、可憐なコラボ相手まで事前に学んでおく。誠実な姿勢でBL東京を支える男、眞野泰地はいついかなるときも準備を怠らないのだ。

(安実剛士)


1月5日の試合では『スターダストランド賞』を受賞。眞野選手は、来場した私立恵比寿中学のメンバー全員の名前を覚えて撮影に臨んだという

東芝ブレイブルーパス東京


東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(左)、原田衛バイスキャプテン

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ

「かなり表現の難しい試合になってしまいました。試合のある時点のライブスタッツではテリトリーで東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)が20%、浦安D-Rocks(以下、浦安DR)が80%とかなり自陣に長く押し込まれてしまい、その中でミスもありました。序盤に良い形でゲームプランを遂行することができて、スコアできたのが良かったと思います。浦安DRさんが何度も何度も素晴らしいアタックをしかけてきたことを称賛したいと思いますし、それに対して私たちが守り切る力を見せたのも良かったです。今日の収穫としては『勝って帰ることができる』ということだと思います」

──今日は浦安DRが実力を示しましたし、三重ホンダヒートも健闘していますが、今季のリーグワンをどう感じていますか?

「その視点はすごく大切で、考えるべきところだと思います。正しいマインドセットを持って試合に臨まないとすごく苦しむことになります。それは自分たちだけではなくて、リーグ全体に言えることです。浦安DRさんは良い選手がそろっていて、今日は勝ってもおかしくない試合をしました。最後に自分たちが勝てたのは我慢強く戦えたからだと思います。結果を残すチームというのは、今日のような試合がありながらも一貫性を持って正しいゲームプランで勝利を収めることができます。

前節から振り返ってみると、中5日でプレビューし切れなかった部分がありました。例えば、ここまで蹴ってくるとは思っていませんでしたし、アグレッシブなディフェンスも想定以上でした。今週はもっとボールを蹴り込んでも良かったかもしれません。今後はハーフタイムの修正を待つことなく、グラウンドレベルで適応していくことが求められます」

──池戸将太郎選手をスタメン出場させた経緯と、評価について教えてください。

「今週は若手を先発させるのがテーマだったので、池戸を先発させることができて非常にうれしいです。彼は若いですが、先発出場したことが良い経験になったと思います。ここまでの3試合は終盤での出場だったので、今日は全然違うプレッシャーを、良い意味で感じてくれたと思います。これから長く続くであろう彼のキャリアを考えても、良いスタートを切っています。コンテストキック(相手と競り合うキック)や自陣から脱出するキックも質の高いものでした。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)周辺では学びもあったかもしれませんが、今後が楽しみな選手です。後半途中から出場した杉山優平の出来も良かったですし、今週のスクラムハーフのパフォーマンスには満足しています」

──次の静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)戦に向けて、修正したいポイントはどこでしょうか?

「今日の試合に関しては、表情が険しく見えているかもしれませんが、うれしく思っています。もちろん、伸びシロが見つかったこともうれしいです。疲れももちろんあると思いますが、リカバリーしながら良いタイミングで静岡BRさんと戦えると思っています」

──50キャップを獲得したワーナー・ディアンズ選手の評価を教えてください。

「BL東京というクラブにとっても、本人にとっても誇らしいことです。昨日のジャージープレゼンテーションではリーチ マイケルから話してもらいました。ワーナーが高校生のころに、彼のハイライト動画をリーチが私に送ってきて、『この選手は良いぞ』と教えてくれたというエピソードもありました。ワーナーは長く在籍してくれているように感じますが、まだ22歳です。世界最高のロックと言って差し支えないと思いますし、まだまだポテンシャルがあって、チームのために体を張ることもできます。『良いヤツ』でもありますし、彼をチームに迎え入れられたことを幸運だと感じています。

また、(5歳年上の)ジェイコブ・ピアスの尻を叩いてちゃんとやらせてくれているのも良いところです。クラブハウスではワーナーがお父さんのようです(笑)」

東芝ブレイブルーパス東京
原田衛バイスキャプテン

「難しい試合になりました。最初に簡単にトライを取れてしまうと、こういう試合になるのはラグビーでよくあることだと身をもって感じました。自分たちで崩れてしまった部分があるのですが、勝って反省できるので、修正して来週に向かいたいと思います」

──後半38分のペナルティゴールまでに、5点リードの場面でペナルティゴールを狙えるチャンスが何度かありましたが、トライを狙った意図は何だったのでしょうか?

「それまであまりモールを組めていなかったのですが、フォワードはモールを組めばいけるという判断があったので、その選択に間違いはなかったかと思います」

──ワーナー・ディアンズ選手の良いところはどこでしょうか?

「ワーナーのすごいところは、フィジカリティーがワールドクラスです。また、年下ですが落ち着きがあって、賢さもあって、ベテランのような感じで僕らも安心してプレーできます。人生2回目なんじゃないかな……(笑)。見習うべき点がたくさんあるので、これからも一緒に成長していきたいと思います」

浦安D-Rocks


浦安D-Rocksのグレイグ・レイドロー ヘッドコーチ(左)、ヤスパー・ヴィーセ ゲームキャプテン

浦安D-Rocks
グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ

「チームとして大きく前進できた試合だと思います。たくさん作ったチャンスを決め切ることができたら勝てた試合だったのが残念な点です。このリーグでは勝つことを求められるので、これから先はしっかりと学びを生かして、勝てるように努力していきます」

──戦力的に大きな差はないと思いますが、ディビジョンが変わったことでミスが起こるなどの難しさが出ているのでしょうか?

「もちろん難しさを感じていますが、ミスが多いというよりもチャンスを決め切れていないのが大きいと考えています。若い選手が多い中でチャンスを決め切るにはメンタルが重要で、そこはチームとして努力している部分です。今日はチームとして前進できたので加速していきたいと思います」

──けが人が多いと思いますが、メンバーがそろうことに期待感はありますか?

「もちろん、スコッド内の選手を多く起用しないといけない状況ではあります。今週もけがや体調不良がありました。その中で今日はクオリティーの高い選手を選出できたので、勝てなかったのはフラストレーションが溜まりますが、来週に向けて準備してバイウィーク(第5節の次は試合のない週)前に一つ勝ちを取りたいと思っています」

──レイドローさんを現役時代から見ていますが、敗戦した試合で笑顔が見られるのは珍しい気がします。今日は選手たちの気持ちの部分をどう感じましたか?

「表向きは笑っています(笑)。選手たちは気持ちの部分で最高のモノを見せてくれたと思っています。物怖じせずにお互いを信じ切ってプレーしてくれましたし、コーチ陣も自信を持って送り出しました。そこには何の文句もありません。これからは学びを生かして成長するだけです。これから先は自信を持って、怖気づくことなく勝ちに向かって進んでいきたいと思います」

浦安D-Rocks
ヤスパー・ヴィーセ ゲームキャプテン

「レイドロー ヘッドコーチに同意で、かなり拮抗した試合展開でした。接戦でしたが、そこで満足するわけにはいきません。チームのパフォーマンスについて誇りに思っていますが、たくさん作り出したチャンスを決め切る部分が課題だと感じています」