16年ぶりのJ1の舞台で躍進を遂げた昨シーズンの東京ヴェルディの象徴の一人となったMF松橋優安が、19番を背負って臨む勝負のシーズンへの想いを語った。 百戦錬磨の城福浩監督の下、シーズンを通して伸びしろ豊かな個々の成長によってチームとしての…

16年ぶりのJ1の舞台で躍進を遂げた昨シーズンの東京ヴェルディの象徴の一人となったMF松橋優安が、19番を背負って臨む勝負のシーズンへの想いを語った。

百戦錬磨の城福浩監督の下、シーズンを通して伸びしろ豊かな個々の成長によってチームとしての最大値を着実に上げた東京Vは、最大の目標だったJ1残留を早々に成し遂げ、最終的に6位フィニッシュというサプライズを提供した。

指揮官が2024シーズンの総括会見の場で、その躍進の象徴としてDF千田海人とともに名前を挙げたのが、「最初の時点でフィールドプレーヤーが30人いたとすれば、30番目だった」と正直に語った生え抜きMFだった。

東京ヴェルディジュニアから緑の名門のアカデミーでプレーする松橋は、いずれもシント=トロイデンに在籍し、パリ・オリンピックでもプレーしたMF山本理仁、MF藤田譲瑠チマらを同期に持ち、ユース時代には背番号10を背負った。

だが、2020年のトップチーム昇格後は思うように出場機会を得られず、SC相模原、レノファ山口FCへ武者修行に出された。いずれのクラブでも定位置を掴めずにJ1昇格の保有元に帰還となり、下部カテゴリーへの再びの武者修行を固辞したなか、プレシーズンは本職のウイングではなく、空いているポジションをあてがわれる立場にあった。

それでも、トレーニングや日常がすべてと語り、チーム全体をフラットな目で評価する指揮官は「彼の成長具合は目を見張るものがあった」と、日々の練習において頭から湯気を出し続け、足元の技術といったこれまでの持ち味以上に、献身性・ハードワークを最大の長所に変えた23歳を評価。

シーズン序盤の第3節セレッソ大阪戦で抜擢すると、以降は途中出場がメインながらも、最終的にリーグ戦30試合(先発5)に出場。第11節のサガン鳥栖戦では東京Vのトップチームでの初得点となるJ1初得点も記録した。

不退転の覚悟で臨み、自身のサッカー人生におけるターニングポイントとなった昨季を「あれだけサッカーと向き合った1年間はなかったですし、それは間違いなく、自信にも繋がっています」と振り返った松橋。

ただ、J1で通用するという手応えを得た一方、ポジション奪取やさらなる飛躍への課題を自覚するとともに、自身の立ち位置の変化よって、新シーズンは昨季同様に進化が必要だと語る。

「去年は去年で、今年は求められることは違うと思うので、そこのベースは絶対に崩さず、より一層成長しながら、結果という部分を残していけるようにと意識しています」

立ち位置の変化とともに、今季はプロ1年目と昨季背負っていた33番から19番に背番号を変更。相模原での2年目、山口でも背負っていた19番は、MF梶川諒太(藤枝MYFC)、DF平智広(ツエーゲン金沢)らとともに近年の東京Vを支えたレジェンドであり、松橋がプロ入りから公私にわたって世話になってきたMF小池純輝(クリアソン新宿)が在籍時に背負っていた番号だ。

その小池との師弟関係を鑑みれば、番号変更の理由は明白だが、松橋はヴェルディで19番を背負う意味とその覚悟を改めて語った。

「(19番を)背負うからには覚悟を持っていますし、今年はより一層結果が求められる年になる。サポーターの方でも、なぜ自分が19番をつけたかということを理解してくれている人もいると思いますし、そういった方々に結果で示せるようにと考えています」

「(小池と今オフに)食事する機会があって、それ以前にも毎回、(19番を)つけてほしいというのは言われていました。個人的にもプロ1年目でサッカーはもちろんのこと、それ以外の人間性の部分でも、とても多くのことを学ばせていただき、お世話になった尊敬する人です。違うチームに行ったときも空いていたときにはつけていましたし、何よりこのヴェルディで19番をつけたいという気持ちはずっとあったので、いよいよ今シーズンは19を背負って戦えるというのは楽しみです」

東京Vの新19番として臨む今季に向けてはこれまで同様の日々のハードワークとともに、昨季を通して課題に挙げている、ゴールに直結する仕事を強く意識。加えて、ユースの後輩や大卒の加入によって後輩が増えたなか、リーダーシップの部分でもより存在感を示していきたいという。

「まずはキャンプでケガをしないこと。そのなかで練習試合だったりもありますし、そこで結果を残せば、試合にも活きると思うので、この期間は本当に大事だと思っています。まずケガしないこと。さらに、プレシーズン期間から結果にこだわりたいと考えています」

「やっぱりこのチームは若いですし、今年は特に年下が増えてきたなと感じています。立ち位置的にも自覚を持ちながら、自分は声とかではなく背中で示すというか、引っ張っていかないといけないなと。そういう自覚もちょっと持ち始めています」

「ただ、試合に出るためには競争に勝っていかないといけないですし、一番差がつくのはこの期間だと思っているので、そこは負けないように、みんなで切磋琢磨しながら質の高いトレーニングができるメンバーが揃っていると思うので、そこはより充実させていきたいです」

野心的な指揮官とともに、チームは昨季の6位以上の躍進を目指す。今季も引き続き“成長”をキーワードに掲げるなかで松橋は、「間違いなく簡単なリーグではないですし、もちろん相手の対策もあると思いますけど、まずチームとして去年大事にしてきた部分というのは絶対になくしてはいけない」、「そこからさらに上に行くためには個人もそうですけど、根本は変えずに、質だったり結果にこだわっていきたいです」と、これまで築き上げてきた確固たる土台に、いかに多くのものを積み上げられるかが成功のカギを握ると考えている。