いまや敵なしの強さを誇る井上。そんな日本が誇る偉才の挑戦をかつての名手が語った。(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext 4階級で敵なしの強さを誇ってきたボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大…
いまや敵なしの強さを誇る井上。そんな日本が誇る偉才の挑戦をかつての名手が語った。(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext
4階級で敵なしの強さを誇ってきたボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)。現階級でも異彩を放つ「モンスター」だけに、巷ではフェザー転級が論じられ続けている。
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実際、本人も自身5階級目に進むことには以前よりも前向きではある。
前々から「スーパーバンタム級で敵がいないから『階級を上げろ』というのはおかしい話」と転級に慎重だった井上だが、昨年9月のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)戦後には「今回は意図的に増やせるだけ増やしてみようと思った。自分のボクシングスキルが落ちない程度にどこまでリカバリーできるか」と体重管理に工夫を凝らしたことを明言。さらに「これから身体を作っていって、それ(昇級)も視野に入れていくことはできるのかなと、そういう試合になったかな」と上がる可能性を示唆した。
実際、陣営はステップアップさせる意向を隠そうとはしていない。井上をプロモートする米興行大手『Top Rank』のボブ・アラムCEOは、米専門メディア『Boxing Scene』で「来年にはフェザー級に移る予定だ」と断言。「フェザー級のチャンピオンたちにとって、イノウエとの試合はとても魅力的なものになる」と語った。
もっとも、フェザー級は難敵たちが集う階級でもある。さらに現WBC同級王者のブランドン・フィゲロア(米国)や、現WBO同級王者のラファエル・エスピノサ(メキシコ)はリーチや体躯で“モンスター”を上回る。当然、「階級制のスポーツの持つ難しさ」を説いてきた井上はそうした現状も織り込み済みだろうが、今までよりも苦戦を強いられる可能性はある。
では、井上はフェザー級でも成功を収められるのか。かつてフェザー級まで進んだ経験を持つ世界5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)は、WBCのインタビュー内でライバルでもあった日本人スターの可能性を次のように語っている。
「イノウエは間違いなく素晴らしいファイターだ。ただ、体重を上げるとパワーが落ちるから、彼はよりスピードとテクニックを重視するかもしれない。一方でカネロのようにパワーを持ち越す可能性もあると思っている」
例えば、フェザー級で、WBCとWBOのランキング1位に立ち、身長173センチ、リーチ183センチのブルース・キャリントン(米国)と比較しても、井上は小柄だ。しかし、フェザー級で戦った経験を持つドネアは「大柄な選手に比べれば、小柄な選手には(階級を上げる上で)利点がある」と強調する。
「私たちのような選手は4つ、もしくは5つぐらい階級を上げてもパワーは維持できる。私自身、決して大きくはなかったが、126ポンド(フェザー級)の選手を落とすことはできた。そもそもボディショットには誰だって弱い。だからできるんだ。当然、イノウエもできると思うが、118ポンド(バンタム級)や122ポンド(スーパーバンタム級)の彼とは違う戦いを強いられるだろうね」
果たして、井上はフェザー級でどのような成長曲線を描くのか。常々「『ベストの井上尚弥』をお見せしたい」と語っている偉才の進化に期待したい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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