2026年のワールドカップ出場に、王手をかけているサッカー日本代表。2025年最初の試合となるバーレーン代表との一戦に勝利すれば、本大会出場が決まる。だが、日々変わりゆくサッカーの世界で油断は禁物だ。サッカージャーナリスト大住良之が、その…

 2026年のワールドカップ出場に、王手をかけているサッカー日本代表。2025年最初の試合となるバーレーン代表との一戦に勝利すれば、本大会出場が決まる。だが、日々変わりゆくサッカーの世界で油断は禁物だ。サッカージャーナリスト大住良之が、そのバーレーンを含むアジアのライバルたちの「現状」をリポートする!

■三菱電機カップ敗退で「監督解任」

 2024年の日本代表の活動は11月の中国戦(厦門、3-1の勝利)で終わり、3月まで「お休み」となっている。しかし、この間にアジアでは12月から年初にかけて2つの重要な大会が行われ、ワールドカップのアジア最終予選で日本のライバルとなっている3つのチームが活動を続け、大きな動きもあった。

 東南アジアでは「ASEAN三菱電機カップ」が開催され、決勝戦ではホームで2-1、アウェーで3-2とタイに連勝したベトナムが2回目の優勝を飾った。そのなかで、ワールドカップ・アジア最終予選C組で「4次予選権」の3位につけ、旋風を巻き起こしているインドネシアが1勝2分け1敗、B組3位で準決勝進出を逃したのは、驚きだった。

 インドネシアはオランダを中心とした「帰化選手」を数多く使ってワールドカップ予選で奮闘してきたが、「FIFA国際カレンダー」外のこの大会ではそうした選手たちをほとんど呼ぶことができず、初戦でミャンマーに1-0で勝ったものの、第2戦ではラオスと3-3で引き分ける失態を演じ、その後ベトナムとフィリピンに連敗、準決勝進出を逃した。

 この結果を得て、インドネシア・サッカー協会は韓国人の申台龍(シン・テヨン)監督を解任、元オランダ代表のスターFWだったパトリック・クライファートを後任に据えた。インドネシアのメディアからの情報によれば、「オランダ系」の選手たちが申台龍監督の采配に不満をもち、申台龍監督が英語を話さないこともあって、コミュニケーションの問題もあったという。

 ただ、クライファート監督は「オランダのレジェンド」ではあるものの、監督としての実績はほとんどないと言ってよく、この監督交代が今後のワールドカップ予選で吉と出るか凶と出るか、まったく見通しは立たない。

■次戦の対戦相手が「西アジアの王者」に

 一方、中東では、「アラビアン・ガルフ・カップ」が行われ、日本代表の次戦、3月20日に埼玉スタジアムで対戦するバーレーンが2回目の優勝を飾った。

 ガルフカップは少し特殊な大会である。アジアサッカー連盟(AFC)は傘下に5つの地区連盟を持ち、それぞれに選手権で行っている。インドネシアが痛手を受けた「ASEAN三菱電機械カップ」や、今年7月に韓国で開催される「E-1東アジア選手権」も、そのひとつだ。

 当然、「西アジアサッカー連盟」も存在し、現在11か国が加盟し、選手権も行っている(イランは2014年に脱退し、現在は中央アジアサッカー連盟に加盟)。しかし、そのなかでヨルダン、レバノン、シリアの3か国を除く8か国(バーレーン、UAE、イラク、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、イエメン)が「アラブ・ガルフ・カップ連盟」を組織、この連盟選手権であるガルフカップがメンバーの各協会にとって非常に重要な大会となっている。

 ちなみに、「アラビアン・ガルフ(アラビア湾)」とは、これらの国々が1960年代から使い始めてきた名称で、国際的には「ペルシャ湾」が正式名称である。アラビア半島とイランで囲まれた面積約25万平方キロの海で、「アラブ・ガルフ・カップ連盟」のなかでイエメンだけは、この海に面していない。

■強豪サウジアラビアに「逃げ切り」勝利

 昨年の12月21日から今年の1月4日までクウェートの首都クウェートシティの2つのスタジアムを舞台に行われた第26回ガルフカップ。バーレーンは、サウジアラビア、イラク、イエメンとともにB組に入った。

 その初戦、12月22日にサウジアラビアと対戦したバーレーンは、立ち上がりからアグレッシブなプレーを展開、繰り返しサウジ・ゴールを襲った。そして、前半19分にMFマハディ・アルフマイダンの左CKに、ニアポストに走ったFWマハディ・アブドゥルジャバルが合わせて鮮やかな先制点。37分には、右サイドを破ったDFハマド・アルシャムサンのクロスをインサイドでMFアリ・マダンがワンタッチして左に流し、フリーで走り込んできたMFマハディ・アルフマイダンがゴールに流し込んで2-0と差を広げた。

 後半、サウジアラビアが反撃を仕掛けるが、バーレーンは不動のGKエブラヒム・ルトファラハの堅守で防ぐ。そして後半28分にサウジに1点を許したものの、3分後には右サイドバックのDFハマド・アルシャムサンの中央へのロブ(ロビングパス)を、FWマハディ・アブドゥルジャバルがワンタッチで相手DFの背後に落とすと、走り込んだMFモハメド・マフルーンがきれいなループシュートで流し込んで、あっさりと2点差を回復した。終盤にPKで1点差となったが、バーレーンはそのまま3-2で逃げ切った。(2)に続く。

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