グッドマン戦が流れ、新たなライバルとの対決が決まった井上。(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥の次戦に注目が集まった。1月11日に今月24日に予定されて…
グッドマン戦が流れ、新たなライバルとの対決が決まった井上。(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥の次戦に注目が集まった。1月11日に今月24日に予定されていた4団体防衛戦(東京・有明アリーナ)で対戦予定だった挑戦者のWBO&IBF1位サム・グッドマン(豪州)が左目上を再び負傷。試合中止となり、急きょ、WBO11位キム・イェジョン(韓国)と戦うことが決まった。
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興行開催まで約2週間を切った中での異例のメインマッチの変更。井上本人はもちろん、大橋秀行会長をはじめとする井上陣営の苦労は想像に難くない。あらかじめリザーブ選手を用意していたとはいえ、11日の早朝にグッドマン陣営からキャンセルの連絡を受け、同日中に全4団体からの許可を受けて「世界戦」を承認させた。この電光石火の交渉は、奇跡とも言えよう。
そして、話題沸騰となったのは、電撃的にチャンスを得たキム・イェジョンだ。
現在32歳のファイターは、2012年2月にデビューしてから25戦21勝(13KO)2敗2分けの戦績を持つ。また、過去に日本人7人と対戦して全勝の「日本人キラー」としても名を馳せる。
とはいえ、井上との実力差は明白。世界的な知名度も低く、下馬評はグッドマン以上にキム・イェジョンの劣勢とされるのは無理もない。
もっとも、その謎めいた存在感がゆえに注目は増している。英ボクシング専門サイト『Boxing News24』は、「イノウエに新たに挑むことになった韓国人は一体何者か」と銘打った記事を掲載。「イノウエのチームは、まるで映画『ロッキー』の一場面のような選択をし、ほとんど誰も聞いたことのないランク外のファイターを対戦相手に選んだ」と指摘した。
実際、映画『ロッキー』の主人公のように、キム・イェジョンが、絶対王者である井上を苦しめることができるのかは疑問だ。過去に日本では非公認のWBAアジアや、IBFアジアの同級地域タイトルを獲得している実績はあるが、2023年4月のロブ・ディーゼル(米国)戦など直近の試合映像を見る限り、攻守の隙は否めない。どうしても井上があっけなく蹂躙してしまう姿は容易に想像できてしまう。
戦力差を現実的に考えれば、井上にとっての敵は周囲の重圧か。WBO以外の3団体で世界ランキングに入っていないような“格下”とされる相手との試合では、ファンはKOという分かりやすい形での勝利を求めるのが常。そうしたプレッシャーをモンスターがいかにはねのけるかは興味深いところでもある。
波乱続きだった試合でいかに見せるか。予期せぬアクシデントが続いた試合だからこそ、井上の真価が問われるのかもしれない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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